成り代わり | ナノ






日番谷成り代わり




男主



隊長であるならば、必要なのは第一に実力。
前線に立って戦わなければいけない場合もある。そして隊の一番上に立つものなのだから、簡単に死んではいけない

…馬鹿らしい
隊長になってから、誰かに言われたことだが。
なんで今さら思い出したんだろ。…今が所謂絶対絶命だからか?

ケホ、と咳き込めば口から紅いそれが零れて落ちた。それは止まることなく地を染める。それでも立っていられるんだからこの体は丈夫なものだな。

あれだろうか?原作とやらと違ってガタイが良いからか。それでも痛みはある。血が流れすぎたらしく、ぐらぐらと視界が揺れる。
…増援はまだか。

金髪を揺らして仲間を呼びにいったであろう松本の姿が頭の片隅に浮かぶ。

別に増援なんぞ望んじゃいない。ただ、この目の前の仮面の化け物ー虚、しかも例のないほどに強いこいつらからあいつらを逃がす口実が欲しかっただけだ。
あいつらは、特に松本は仲間を置いて逃げられるほど弱くないのは周知。

さて、どうしたものか。
増援はまだ。残っていた仲間は屍になってやがる。
不思議と怨めしさは、ない。仲間が死ぬなんて当たり前過ぎて馴れてしまったか。

『グガァアァ…殺…シテヤル』

吠える虚。一体吠えれば呼応するように後のやつらも吠える。…死神に恨みありありかよ。
死なないでくださいよなんて松本に言われたが、守れっかね?

まぁ、逃げられるわけでもなさそうだな。逃げるつもりなんてねえけど。
死ぬつもりも、な。

にやりと笑い、虚に斬魂刀を向ける。さぁ、反撃できるかねぇ。

「氷輪丸…やるぞ」

隊長は、確かに死ぬことは許されねぇだろ。
だが、それは隊を統率するからだとかじゃない。

隊のやつらを、守らにゃならないからだ。


「卍解!」

あいつら守って死ねるんなら、それもまた一理あるだろ?




パキパキと凍りゆく大地で、名前は龍を纏って艶やかな笑みを浮かべた。




まだ本気じゃない
(身体中痛むが、まだやれる)

……
アンケートより
なぜか男主に