俺が現在付き合っているやつはかなり面倒なやつだと思う。素直じゃないし、怒りの沸点がわかりずらいし、ヒステリーもちだしであれ、なんで俺はこいつと付き合ってるんだっけ、と思うことが多々ある。腐れ縁から発展した関係だから、しょうがないのか。なにがしょうがないか自分でもよくわからないが。
いやいや、相手の悪いとこをあげるからダメなんだ。いいところを考えてみよう。風介のいいところ。やっぱ顔か?女子と見間違える綺麗な顔だちは昔から他人の目をひいていたし、自分も好きだ。ただ中身の可愛げのなさは異常だ。ほかにはプライドの高いとことか。あいつなかなか折れないしな。あれ、いいところ探してるはずなんだが。
「おい。」
「うわっ。」
振り向くと先ほどまで自分の思考を占めていた風介がいた。片方の眉を吊り上げてこちらを見下げている。「なにぼーっとしてるんだ。」
「いや、別に。」
お前の長所を考えていました、とは言えない。いや、長所とは少し違うか。


「暇なら出かけないか。」珍しい。風介から誘ってくるとは。
「どこいくんだ。」
「決まってない。」
「なんだ、そりゃ。」
風介はふっと目を反らしてちらちらとこちらをみてくる。

「別にいいだろ。ぶらぶらするだけだ。」
ついにぷいっとこちらから顔をそむけてしまった。耳元がうっすら赤い。
そうだ、こいつは素直じゃないんだ。素直じゃないけど、不器用ながら自分の気持ちをアピールしてくるやつで、その様子が好きで好きでたまらないのだ。


「じゃあいくか。」
そう言うと風介はこちらをみてこっくりとうなずいた。その顔がやたらかわいくみえたので彼の頬にキスをしてやった。

彼を好きな理由が一つわかった気がした。
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