ヒロトと猫 | ナノ
バーンとガゼルが猫化してます。擬人化とかはなく本物の猫なので注意。
ヒロトは一人暮らし中。
「あなた猫なんて飼ってたの。」
姉さんは部屋にあがるなり、ソファーに乗っかってくつろいでる二匹の猫を見て言った。
「うん、言ってなかったっけ。拾ったんだ。」
「知らなかったわ。」
「かわいいでしょ。」
「ええ。名前はなんていうの?」
「雑誌をひっかいてる赤茶のがバーン、丸まって寝てる白いのがガゼルっていうんだ。」
「変わった名前をつけたわね。」
「そうかな。」
「ええ。でも猫を飼うなんて、一体どうしたの。」
「なんか、ほっとけなくて。それに最初は警戒心バリバリでなかなか懐かなかったんだけど懐くとね、かわいいんだよ。」
「じゃあ私には触らせてくれないかしら。」
「最初は難しいよ。特にガゼルのほうは。」
「残念ね。まあ、あなたが元気そうでよかったわ。」
「元気でやってるよ。心配性だなぁ。」
「そう。・・・・・手紙あずかってきたわ。はい。」
姉さんが差し出した白い封筒を受け取る。
「読まないの?」
「うん。後で読むよ。」
「今度の面会、20日になりそうだけど大丈夫かしら。」
「大丈夫。行けるよ。」
「父さんも喜ぶわ。」
「うん。」
そのまま姉さんは今の生活に不便はないかなど少し話をして仕事だと言って帰ってしまった。今日はご飯一緒に食べれるかと思ったのに、残念だ。
姉さんが渡した白い封筒の封を切る。中にあった手紙を取り出して目を通した。読んでから手紙を封筒に戻す。机の上においてソファーの上にボスン、と座った。隣いたバーンがうみゃ、と変な声をだして飛び退いた。
「ああ、ごめんごめん。」
バーンを捕まえて膝の上に抱き寄せる。暴れる手足を封じて頬擦りをする。みゃあみゃあ鳴いてバーンが抵抗する。俗に言う猫パンチだ。ぷに、と肉球があたる。ついでに少し尖った爪も。
「もー、なんでおとなしくしないの。」
暴れるバーンを離して寝ているガゼルを引き寄せる。ガゼルは抱き上げても眠いせいかおとなしくしている。なでるとゴロゴロと喉を鳴らした。いつもはなかなか触らしてくれないのに時々すごく警戒心をとく子だ。ガゼルを撫でてたらバーンが服をバリバリ引っ掻いていた。爪が服にひっかかって少し痛い。
「もう、なんだい。さっきはいやがったくせに。」
バーンの首ねっこを掴んで膝の上に乗せる。すると膝の上でも服で爪を磨ごうとするのでぺしっとはたいてやった。はたかれたバーンは今度はガゼルにちょっかいをかけ始めた。ちょんちょんと寝ているガゼルをつついている。なかなか起きないせいかバーンはガゼルにも猫パンチをしだした。するとさすがに起きたガゼルが反撃をした。爪でバーンに攻撃をしかける。それにバーンも反撃をする。うにゃうにゃいいながら膝の上で勃発した喧嘩に呆れる。すくっと立ち上がると二匹とも床にぼたぼた落ちた。何するんだ、とでもいいたげな目に苦笑して晩御飯の支度をすることにした。
シリーズ化しそうです。