ノートにメモをとりながら教室の時計をみた。講義が終わるまであと10分を切っている。もう少しで終わる、もう少しで会える。彼に会えると思うと今から緊張した。彼と偶然再会してから二週間がたつ。 2年ぶりの再会だった。急すぎてなんだかよくわからないままメールをするようになった。本当は最初のメールを返すのもためらっていたのだ。別れの際にあえて連絡先を教えなかったのはもう頻繁に会うことは不可能だと思ったからだ。ならばこのまま縁を断つべきだと思った。あの頃の自分は彼に恋情にも似た想いを抱いていて、それを伝えることなんて到底不可能だった。だから断ち切って新しい生活を送ろうと思った。それでいいと思っていた。なのに再会してメールがきて、また彼と繋がろうとしている。メールには久しぶりに会ったこと、今どこに住んでいるかを問う簡潔な文が並んでいた。返事を返すべきなのだろうか。

ばか、2年前の決意を無駄にする気か。
だってせっかく会えたのに。
また同じ思いをするのか、あいつのことでまた悩んで苦しい思いをするのに。
そうと決まったわけじゃない、2年前とは違う。
昔よりは大人になった。きっとうまく対処できる。






自分を説得して彼とやりとりをしたメールは楽しいものだった。内容は軽いものばかりでそれの一つ一つに、一喜一憂している自分に呆れた。メールを交わす回数を重ねていくたびに会いたくて想いが募るのがわかった。やはり返事をするべきじゃなかった。予想してたとおり自分は苦しんでいる。
そんな折だった、彼から電話があったのは。











19時をすぎてしばらくすると、出入口からどっと人がでてきた。その中に目当ての人物がいるかを確認する。同年代の人の群れの中に青白い髪色をみつけた。

「風介!」
「晴矢。来てくれたんだな。」
「ああ。腹へってるだろ。どこか入るか。」
「それなら公園にいこう。何か買って。夜風も気持ちいいし。」
「近場に公園なんてあんのか。」
「ちょっと歩くけどすぐ着くよ。」

そうして、二人が再会したコンビ二によって軽食を買って公園へ向かった。

日の落ちた公園は薄暗く、街灯の灯りで遊具をその場に照らしだしていた。
公園のベンチに腰かけると、ミシっと木の崩れる音がする。公園には自分たちのほかに人気はなかった。
「塾、大変そうだな。」
「まあな。」
「お前勉強できたっけ。」「君よりはできるよ。」
「てめ、」
「大変だけど、結構楽しいよ。」
「マジかよ。」
「うん。」
「今の生活楽しいか。」
「そうだね、楽しいよ。」「昔より?」
「・・・。」
「なぁ、なんで今まで連絡しなかったんだよ。」
「なんでって。」
「メールも。最初返事返ってこないかと思った。」
「それは。」
「お前がなにも言わずにいなくなったこと、ショックだった。」
「・・・ごめん。」

攻めているのだろうか。でも本当のことを言えるはずがない。

「だから、お前に会えた時は本当に嬉しかった。」
「晴矢・・・。」
「だから、その、今後はこういうのやめろよ。ちゃんと連絡くらいしろ。」

そう言い切った晴矢は先ほどからこちらと目をあわせてくれない。明後日のほうを向いてうーとかあーとかうなっている。

「晴矢、ごめん。」

君の気持ちを無視してしまって。

「もうそんなことは二度としないよ。絶対に。」
「ああ、頼む。」

だって私は君が好きなのだから。だからもう二度と君との縁を切ったりしない。ずっと続けていきたい。

「晴矢、」
「なんだよ。」
「好きだよ。ずっと前から。」














一応これで終わりです。ラブラブなところが書けてない!なんてことだ。その後の二人のラブラブ番外編を書きたかったけど、力つきました。
またネタがうかんだり、要望があれば書くかもしれません。
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