実験失敗 | ナノ













そろそろプロミネンスが練習場を使う時間が終わるので、個人練習をしに行く途中でガゼルはなにやら視線を感じた。ちらちらとこちらを遠慮がちに見てくる視線、惚けたように見てくる視線、何か疑問を投げ掛けてくる視線と様々だ。こんなに他人の視線を感じるのは初めてで何か不気味な感じがする。
練習場につくとプロミネンスのメンバーはフィールドからあがるところのようだった。ちょうどいい時間に来たと思ったら、ここでも視線を感じた。プロミネンスのメンバーが立ち止まってこちらを見ている。その中には赤い髪をした彼らのリーダーの姿は見当たらない。あいつはどうしたのだろう。

あまりにもこちらを見つめてくるので、さすがに不愉快になった。 

「なんだ、お前たち。私の顔に何かついているのか。」
「い、いえ。」
「そういうわけでは」
「ないんですが。」
「なんだ、はっきり言え。」
「綺麗・・・。」
「は?なんだっ」
「あの、ガゼル様、この後練習するんですよね?」
「そうだが。」
「じゃあ俺も付き合います!」
「な、ずるいヒート!」
「抜けがけかよ!」
「ガゼル様、俺もご一緒します!」
「ネッパー、てめぇ!私もします、どうせこの後暇ですから!」
「な、そんなにいらないから。ねぇ、ガゼル様。」
「え、ああ。ん?」

いきなりなんだというんだ。敵対してるチームのキャプテンの練習に付き合うなんて。

「みんなどうしたんだ。いきなり。」

おかしいだろ。 

「おかしくなんてないです!」
「人の心を読まないでくれ。」
「さあ、一緒に練習しましょう。」

そう言ってぐいぐい腕を引っ張られる。

「いや、ちょっと待て。」「えー一緒にやりましょうよー。」
「俺、以前からガゼル様とご一緒したいと思ってました!」
「サトス、どさくさにまぎられて何言ってんだこらぁ!」 

みんながよってたかって腕を引っ張る。もうわけがわからない。一体なんなんだ、いつもの彼らならこんなことはありえない。どうするべきなんだ、誰か助けてくれ。 





「なんの騒ぎだ。」
「バーン。」

振り向くとバーンが練習場の入り口に立っていた。 
「ガゼルがなんかしたのか。」
「な、私は何もしていない。」

してるのはお前のチームメイトだ。 

近くまでよってきたバーンは私をまじまじと見つめた。 

「お前、どうしたんだよ。」
「何がだ。」
「いや、その。」
「今日のガゼル様、何か素敵ですよね!」
「うんうん、なんかこう艶っぽいというか。」
「なんか惚れちゃいそうです。」
「はぁ?!何言ってんだお前ら。」
「ちょっとバーン様、邪魔です。これからガゼル様と練習するんだから。」
「いや、だから練習は一人で、」
「ダメです。俺とやりましょう。」
「いや、私と!」
「俺と!」
「だー、もううぜー!ガゼル、来い!」
「へ、」

バーンがぐいっと手を引いて走りだす。引く手はぎゅうぎゅうに握られて痛いくらいだ。後ろからぎゃーとか、バーン様抜け駆けぇーとかいう雄叫びが聞こえる。




「はなせ。」

練習場から大分離れた通路まで逃げてきてから言うと、バーンはあっさり手をはなした。 

「たく、あいつらどうしちまったんだ。」
「まったくだ。」
「・・・・・。」
「なんだその目は。」
「いや、お前さ、今日なにかあったか。」
「はぁ?」
「変なもん食ったり、」
「そういえば今日研崎に試作品のドリンクをもらったな。」
「それだ。何作ってんだあの変態。」
「ただの栄養ドリンクだと言っていた。力がでると。」
「完全に失敗作じゃねーか。」
「かもな。何も変わらないし。」
「・・・いや、ある意味スゲー変わった。」
「どこが。」
「なんつーかエロくなった?」
「はぁ?!真面目にしてくれ。君はいつもそうやってちゃかして真剣にしないから、」
「わかったわかった。じゃあ行くか。」
「行くってどこに。」
「俺の部屋。お前のでもいいけど。」
「なんでだ。」
「そりゃあ、ナニするため、」

「見つけたー!!みんなーいたよ!」
「げ、お前ら。」
「ガゼル様捕獲!」
「肝心な時に。くそ、逃げるぞガゼル!」
「えぇ、またか!」
「バーン様ずるい!」
「うるせー、ガゼルは俺のなんだよ!」
「な、何言ってるんだバカ。」
「じゃあちょっと貸してください!」
「だが断る。」
「えー。」
「当たり前に決まってるだろ。」
「こうなったら実力行使あるのみです。」
「お前らしつこいんだよ!」








結局その日は基地内を走り回ることになり、薬の効果がきれたのは3日後のことだった。 





















小川様のリクエストで研崎の失敗作でイケメンup+お色気upのついたガゼルがプロミネンスに追いまわされる話を書かせていただきました。プロミネンスのセリフ考えるのが楽しかったです。ラブコメを目指したけど、ん?これラブコメか?という疑問が残る話になってしまった。
こんな出来になってしまったがリクエストありがとうございましたm(__)m
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -