カオス結成後くらい










手を組まないか、そうバーンにもちかけられたのは意外だった。自分は雷門に同点という名の敗北を受け、残る道は追放でしかないと覚悟をしていた。そんな私に協力をもちかけるなんて、グランのジェネシスの座がよほど納得いかないのだろう。私もだが。

カオスを組むようになってから彼と久しぶりにまともに口を聞いた気する。計画が始動してからはお互いのあら探しを指摘しあい、自分こそがジェネシスにふさわしい、ゆずりたくない、と争ってきた。それはグランも同様だ。もっともグランはこちらの挑発などにのったことはなかったが。

バーンと再び話すようになってわかったことは、彼は昔と変わってなんていないということだった。彼は相変わらず暑苦しく、口は悪いし、短気だったがそれが懐かしかった。ようやく会いたかった彼に会えたのかもしれない。会えたと同時に自分の中にあった消えかけていた感情が強く表にでていこうとしているのを感じる。

やっぱり昔言ってくれた言葉をなかったことになんてしたくない。彼は変わっていなかった。なら、あの言葉も彼の中では変わらずに存在してくれはしないのだろうか。そんなの都合のいい考えだろうか。でも、でも、私は、







「バーン!」

ピッチに一人たたずむ彼を見つける。くるりと怪訝な顔でこちらを見た。

「なんだよ。」
つい声をかけてしまったけど後には引けなかった。

「な、んで、以前私を好きだと言ったんだ。」

「はぁ?」

バーンはバツの悪そうな顔でぽりぽりと頬をかいた。
「それは忘れろ。」
「いやだ!」
「お前な。」
「なんでそんなこと言うんだ。まだ、返事もしていなかったのに、取り消すなんて、勝手だ!」
「ガゼル、どうしたんだよ、落ち着けって、な?」
「私は落ち着いている!君はひどい、卑怯だ、ばか。」
「・・・・。」
「人にあんなことまでしておいて、なんで、なかったことにするんだ。私の気持ちも知らないで!」
「ガゼル・・・・。」







だめだ、泣くわけには

「私だって、好きなのに。」
目尻が潤む。我慢しようとしても駄目だった。たかがはずれたように涙があふれた。こんな失態を見せながらの告白なんて、最悪だ。

「・・・・よく考えろよ。俺はお前と敵対してたし、たくさん傷つけてきた。お前にすらジェネシスを譲る気はなかった。そんなやつをお前は好きだって言えるのかよ。」

「でも、それだけじゃないじゃないか。君とは争ってばかりいたけど、でもそれすら楽しかった。一緒にいるのが心地いいって思えるのは君だけなんだ。」


「だから、なかったことになんてしてほしくない、そう思って」

喉から嗚咽がもれ初めてうまくしゃべれない。まだ言いたいことはあるのに。

「泣くなよ。」

涙を指でぬぐわれる。涙も彼の指も熱い。

「うるさい、さわるな。」
手を払ってじっとバーンを見つめる。そんな施しまっぴらだ。すると払った手を捕まれる。

バーン、名前を呼んだはずがその声はあわさった唇にかき消されて響くことはなかった。カチッと歯があたる。少し痛くて、舌でいたわるようになぞられた。そのまま互いの口内を行ききする。

「んっ、」

背中に手が回って抱きしめられる。なんだか、ひどく心地よかった。ほんとはもっと言ってやりたいことがいろいろあったんだ。でも




「ごめんな。好きだ、今でも。ガゼル。」





またこの言葉が聞けたのでよしとしてやる。









ヒステリックな告白をガゼルにさせたかった。
続き書くとしたらR指定になりそうです
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