高校パロ
風介でてきませんけど南涼




「晴矢さっき振られてたね。」
そう言うと本人はとてもいやな顔をした。
「みてたのかよ。」
「そりゃあ、部室の横でそんな込み入った話するのが悪いよ。」
「それはあいつがあそこで呼びとめるから。」
「でも、もったいないなー。浅香さん人気あるのに。ついに別れたんだね。一月たってないけど。」
そう言うと晴矢はすねたようにるせー、とそっぽをむいた。
「なんでふられたの?」
さっき聞いた限りでは彼女から別れを告げているようだった。悲しそうに曇った顔でごめんね、と頭をさげているのをみてしまったのだ。
「なんかさ、あんま真剣に付き合ってないって言われた。」
「それは」
納得だ。やっぱりはたからみてわかるもんなんだなーって考えてたら頭をこづかれた。
「いた、なんだよ。」
「うるせー。」
悪びれもしないで晴矢はぐりぐりと拳で頭を押してくる。押し返そうとして、晴矢の体をつきとばす。すると、晴矢は軽くよろけて机に乗せてあったスポーツバッグをおとした。落とした拍子にバッグの中から手帳のようなものがでてきた。拾ってみるとスケジュール帳のようだった。
「落としたよ。スケジュール帳なんてもってたんだ。」
その割りには使ってるところをみたことがなかった。スケジュールなんてつけるようなマメなやつじゃあないのだ。開いて中をみてみると、案の定真っ白だった。
「ばか、返せ。」
手を伸ばしてくる彼をあしらってパラパラと白いページをめくる。すると一枚の写真が最後のページに挟んであった。
「あれ、これって。」
それは中学のときの写真だった。今から3年くらい前の。写真は集合写真で10人くらいが赤と青の混ざった派手なユニフォームを着ている。写真には自分も彼もいた。
「うわー、懐かしいなぁ。これカオス結成時に記念に撮ったやつじゃん。」
だれが言いだしたか忘れたけど(おそらく女子のだれか)記念に写真をとりたいと言いだしたのだ。キャプテンだった晴矢も副キャプテンだった涼野もあまりいい顔はしなかったけど、みんなの熱意にまけて撮ったのだ。そういえば涼野はどうしてるだろう。彼は高校入学と同時におひさま園をでて親戚に引き取られたのだと聞いた。晴矢はよく涼野と喧嘩してたけど、仲はだいぶよかった。むしろこの二人はこれからもずっと一緒にいるんじゃないかと自分は思ったくらいだ。
「にしてもみんな若いなー。でもなんでこんな写真もってるの?」
それを聞くと晴矢はぐっとなにかつまったような顔をして視線をそらした。
「あークラスのやつに昔の写真もってこいって言われて。」
たどたどしく言う彼をみて、茂人にはわかってしまった。彼がふられたわけも、この写真をもっているわけも。
「晴矢。」
自分はよほどあきれた顔をしていたんだろう。彼はあわてたようにな、なんだよ、とどもっている。手元の写真をもう一度みた。正確には晴矢の隣に写っている涼野をだ。3年前の涼野は少年のような少女のようなどちらともとれる端正な顔をしていて、きゅっと口元をむすんでこちらをみている。
(確かにかわいいけどさ)未だに中学のころの恋を引きずっているとは。あきれて声もでない。
もう返せと言ってくる手に写真と手帳を渡す。いそいそと写真をしまう幼なじみの背中をみながら思った。



晴矢・・・・



そういうの世間じゃ未練たらたらっていうんだよ。



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