通常通りに授業が進めれると言う夢を見た。その割には目覚めは最悪で、塾の時間まで、何度となく嫌な汗をかいた。そして処刑開始、ならぬ塾の時間。いつもの微笑みを貼り付けたドSを案内し教室に入った。
「授業を始めます、席に着いて下さい」 「あれドSなんで居るの?」 「お手伝いに来たの」
お願いだからあんまり喋らせないでくれ!出来るだけ平穏に、通常通り、いつもどおり授業を進めたいものだが果たしてうまく行くんだろうか。
「今日は、僕とドSさんの班に分かれて実験です」
真っ先にドSの方に寄る志摩くんに呆れつつも少しばかり冷や汗が出る。その内毒牙を浴びて泣きつきにくるだろう、そのぐらいしか思ってなかった。
「はじめまして、ドSさん言うん?かいらしい名前〜」 「はじめまして、志摩くん」 「また志摩さんの悪い癖ですわ」
今のところニコニコしてるし、このまま上手いこと順調に進め。さて、僕も授業を進めないと。
「ねずみさん、我慢してね」 「ドSさん優しい!淑女て感じですわ〜」 「さっきから耳の横で雑音聞こえるんだけど?」 「雑音ちゃいますて、美声言うんですよ」 「あーうるさい。汚物から雑音が聞こえる」 「そんなツンケンせんでも〜」 「しっしし、志摩さん今授業中ですから、しっ静かにした方がええんと違います?」
僅かに嫌な気配を感じた。あれ、ドS、イライラしてないか…?
「こいつをねずみさんに憑依させて」 「ドSさんスタイルめっちゃええなあスリーサイズいくつ?」 「志摩、えー加減にせえ授業中やぞ」 「そこのにわとりみたいな頭の、勝呂くんだっけ?そこのビーカーと試験管とって」 「に、にわ…」 「なんで坊ばっかり!」 「ちょ、揺らすな!」
ビーカーと試験管を手にしていた勝呂くんに寄る志摩くんの手によってガチャン、とビーカーに入っている調合された薬品と血の入った試験管が落ち、血やら薬品が入り混じった嫌な臭いが辺りを包み込んだ。なんだこれ、兄さんのとデジャヴじゃないか。
「なにやっとるんですか志摩さん!」 「汚物が最悪のパターンを…往生すればいいのに」 「そんな冷たい事言わんでーって、うわああねずみさんが凶暴化しよった怖っ!」 「皆さん危ないので外へ出て下さい!」
血の匂いに興奮した小鬼が群れてきた。ああ、新しく買ってきたばかりなのにまた消費するのか。銃を構える前に溜め息がでた。
「やっと出てきた。私の血をあげたんだから、それに見合う働きをしないとね?」 「はいっ、喜んで!!」
…ドSの使い魔は相変わらずだ。どのような調教をしたら悪魔があんなに従順になるんだ。
「うおーすげー」 「兄さん?ちょっと、外に出てろって言ったろ?!」 「ドSってどう戦うのか見ておきたくて!」 「燐くん危ない」
ひゅ、と小さなナイフが兄さんの頬の横をかすった。ナイフが刺さった先には小鬼が貫かれいた。
「大丈夫?」 「つ、強いんデスね、ドSサン…」
兄さんが敬語だ、と…? 顔面蒼白してからは大人しく外で待つことにしたみたいで待っている間、ずっと震えてたとか。
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