8〜ルールそのものを変えられてしまったモブ〜 「オレは男だ。男同士でそう言う関係になってどうにもならないだろう…」 「今さらそれ?」 そう追求されて、オレは自分のエゴをむき出しにした。 「オレは…。子供が欲しいんだ!」 軽蔑されてもいい。それでもオレには譲れない事がある。一度死んでしまった時、オレは自分の子供もできないまま両親より先に死んでしまった事に、申し訳ない気持ちで一杯だった。 だから転生している事実が分かった時、今度はきちんと結婚して子供を育て上げてから寿命で死にたいと思っていたんだ。 それが地球でオレの死を悲しんでいるであろう両親への罪滅ぼしだと思っていた。 正直、ボブとサブとに気持ちをぶつけられて身体を好き放題された時、彼らを心の底から責め立てずに居られたのは、彼らの強すぎる想いに向き合いたくなかったからである。だから、こいつらの一過性の間違いだと思い込む事で、2人が飽きるのを待っていた。 「だから…。男同士とか…オレは無理だ。みんなの事は大切だと思うけど、そう言う関係には…なりたくねえ」 ボブとサブだけでなく勇司からも先ほど告白された。祥治の本心は分からないが、執着心を持たれているのは間違いないだろう。 だが、その想いの数々を踏み躙ることしか選択肢は無い。 しかし、次の瞬間。オレの硬い決意を根本から覆す内容をこの世界の神である少年から発言されることとなった。 「な〜んだ。そんなことか〜。いいよ〜。僕もダーリンも今はこんな形だし、最近、この世界もなにかと少子化と未婚が問題になっているし。魔法ばんばん使える世界なんだし、同性間でも子供できるようにしたげる。大サービスだよ〜」 え? その台詞は天地がひっくり返るような衝撃をオレに与えた。 「ほ、本当ですか?タッサク神様!」 なぜか幼いドウテが興奮気味に真っ赤な顔をしながらそう聞いていた。 「神に二言はありません!でも、すぐに出来るようにさせるのもサービスし過ぎになるから、自分たちでその奥の手を見つけな。それが出来てからこの息子に改めてプロポーズするなりしたらいいよ。これならフェアでしょ?ダーリン」 「ディー君がすぐに誰かのお嫁さんになるのも嫌だから、それがいいね」 優しく微笑みながらそう言われて、オレの顔が熱くなるのを感じた。絶対赤くなっていると思う。 父と同じ微笑みだが、元の造りがモブと圧倒的な美形なのではその威力がケタ違いである。 「えっと…。神様「父ちゃんって呼んで、ディー君。そんな他人行儀は寂しいから」」 この美形をさすが父ちゃんとは呼べなくて、でも名前もしらないのでとりあえず神様と呼ぶ事にしたが、すぐに却下された。その泣きそうな表情は確かに父と同じだ。だから、オレはそれについては考える事を放棄して、望み通り今まで通りに接する事にした。 「父ちゃん。オレ、嫁になるつもりはないけど…」 ここでもきっちりとオレは自分の意思を伝える事にする。流されるように『なら、オレ、お嫁になる!』などと、頭に花が咲いているような事は言えない。 そもそも根本的にオレはノーマルなのだ。つまり、最初の一歩から踏み出す方向が間違っている。 「ん〜…。ディー君がそう言ってもね…。ほら。周りを見て御覧?」 そう促がされて、オレはおそるおそる視界を父から外した。 「いっ!」 目に飛び込んできたのは、爛々と輝く獣の目の数々。舌舐めずりして獲物に狙いを定める猛獣たちの姿がそこにあった。 UNION・■BL♂GARDEN■ |