6〜モブ夫妻の正体〜 「あ〜どうせ、外野のヤンデレどもにも説明しないとダメだろう。めんどくさいことは嫌いだからね、僕」 黒い肌の…母だった少年はそう言うとパチンっと指を晴らす。その途端に、周りの透明の膜のようなモノが消滅した。その事で、一気に雑音を含め色々な音が増えた。どうやら、今まであった膜は防音効果もあったようだ。 「伝」 「伝次郎!」 「「ディー!」」 それぞれの呼び名でオレを呼ぶ4人。その後ろを見れば、勇者メンバーも魔王の側近である2人も揃っている。 この場には役者がそろっているようだ。 祥治と勇司が2人ともこちらに素早く近づこうとするが、それは少年と青年がオレを前後で庇うように身体を割り込ませてきたので阻止された。 驚いた事に、傍若無人な勇司も唯我独尊な祥治も強引にオレを奪おうとせず不機嫌そうな顔で妨害する2人を睨みつけるだけに留まっていた。 そんな異様な雰囲気の中、一番に口を割ったのは勇者ウェイこと、勇司だった。 「タッサク、てめえ、なんのつもりだ?え〜?」 少年に向かって、殺気を隠そうともせずに牙を向いている。 って、あれ? 「タッサク?…神様?」 聞き覚えがありすぎる名前。それもそのはず。 この世界の至上神様と同一の名前だ。 「そそ。でもって、こちらは僕のダーリンね」 そう言って、オレの背後の青年に対して、少年は愉快そうに笑いながらウインクする。それに対して、青年は少し困ったような表情を浮かべてながら説明をしてきた。 「あ〜、俺は伝次郎くん達が住んでいた所を管理する者なんだ」 「え?あっちの神ってこと?」 「そうとも言うかな?」 いわば地球の神ってことか?まさか、自分の気弱な父ちゃんが、そんな存在だとは思いもしないし、言われてもすぐに信じようと思えない。 「…でしたら、もしかして、そこにおられる村人の姿をした者…お方は…2人の御子でしょうか?」 恐る恐ると言う感じで、ナルがそんなことを聞いてくる。聖職者だけにその話題にはここのメンバーの中では一番想いが強いのだろう。他の者たちも複雑そうな表情を浮かべながらこちらに視線を送っている。 え?じゃあオレは地球の神とここのタッサク神の子?ええ〜〜〜。 パニックになっていたが、次の地球の神と名乗る青年とタッサク神の言葉でもっとパニックになる。 「ん〜。そうとも言えるけど正確には違うかな。本当に俺たちの子なら、異次元空間がもう一個できてそこの神になるからね」 「僕はまだ作らないよ〜。神協定で、一夫婦に一人って決まっているからね。まだ新婚ほやほやである僕らは、そちらの子育てはしたくないし。ディーは僕らのほんの欠片から生まれてきてるので子供と言えばそうだけど、普通の人間でしかないよ。力も与えなかったしね」 交互に説明された事をオレは自分なりに分析することにした。 つまり2人のカスのようなモノで出来ているって訳か?この身体。いや身体でなく魂なのか?それって…。 某スプレー缶の台詞をパクるわけではないが、さっぱりわからない。 「それは伝の死になんらかの関与があったと言う訳か?」 皆が困惑した顔でオレや2人の神を見ている中、無表情で祥治が聞いてきた。たしかに、言われてみて初めてオレは気が付く。そう言えば、死んで転生したわけだしその理由がもしかしてこれなのか? デー(伝次郎)の主成分は何でしょうか? UNION・■BL♂GARDEN■ |