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怒られるのって気持ちいいものではないよね、普通は。でも怒られるのが生き甲斐だとでも言うように、彼はしきりに怒られたがる節があるから人間って不思議!そもそも彼を人間と言っていいのかどうか、という問題もあるのだけれど、細かいことはとりあえず向こうに投げておくとして。


「ご主人様……ねえ、ご主人様……ごーしゅーじーんーさーまぁ!」
「ちょっ、トト!お、重っ……!」
「ぼく、いい子にしてたんだよ?ずっとずっとご主人様の帰りをいい子で待ってたんだよ?どうしておかえりなさいのぺろぺろさせてくれないの?ねえなんで」
「なんでってこっちが聞きたい、のしかからない!トト、おすわり!」
「わんっ!」


野暮用で外に出ていた私が帰ってきた途端、お留守番を任せていたトトが勢いよく飛びついてきてのしかかりから、私の顔を舐めてこようとしたのだ。一喝すればすちゃ、と言うことを聞いて、えらい?ぼくえらい?褒めて褒めて!と超絶アピール。
はいはいえらいえらい、と適当に流したらむくれながらしょげ返る。そもそもおかえりなさいのぺろぺろって何、いろんな意味でだいぶアウトだと思うんだけど。


「普通はおかえりなさいのチューとかハグって言うものじゃないの?」
「えっ、チューとハグもしていいの!?」
「いや、ダメだけど」
「ご主人様はお預けが多いけど、ぼく我慢する、いいよって言われた時のために楽しみは取っておく!」
「この先もいいよとは言わな」
「言った!」
「は!?違っ今のは例えだからノーカン……」
「チューしてハグして……ぼくご主人様のこといーっぱいぺろぺろする!全身、くまなく……隅々まで……舐めて……」
「と、トト!待て!ウェイト!ちょ、待てだよ!?」
「んー……ぼく、聞こえなあい……」
「普通に聞こえてる!」
「いっぱい舐めて……舐めて、ご主人様、キモチよくさせてあげる、よ?」


あっアウトー!
再びのしかかってくるトトから逃げようとしても時既に遅し、体格のいいトトは逃すまいと私をがっちり捕まえている。手始めに頬から耳元にかけてをべろりひと舐め。情けない声で怒ってみてもトトはこれ以上ないほど口角を吊り上げていい笑顔を見せている。


「ご主人様のその顔……すごい、すき……かわいい……ぼく、それ、もっとほしい」


たぶん発情期みたいなやつだ、ヘッドバットでも喰らわせてみようか。ぎらぎら獣の目をしているトトに寒気を覚えながら、私は目を閉じて秒読みを開始した。

なんの秒読みかって?ヘッドバットの予定を変更して、禁じ手であろう金的攻撃の、である。

20160107
続かない。
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