「確かに俺、甘いもんが好きだ」
「でしょ?」
「……だからってよ、こりゃねぇだろ」
今日は待ちに待ったヴァレンタイン。俺の主は朝から忙しなくポケモンセンターでかりた厨房で、何やらしていたようだ。
なんか作ってんだよな、甘菓子に間違いない。そう思って朝からわくわくしていたわけだが、俺の予想を遥かに越えたもんを手渡されたんだ。ギラティナは甘いものが好きだから。そう言って。
「なんで砂糖1kgなんだよ、しかも俺だけ」
「いやなんかギラティナは極めてる感がしたから」
「何を極めるんだ俺が」
「甘いものに対して色々と、なんかお菓子じゃ物足りないから原材料食べちゃえみたいな」
「偏見だ、さすがの俺も砂糖現物のままはむりだ、吐くぞ」
やっぱりそうだよね、と少し困ったように笑う。この調子じゃあ俺の分はマジで砂糖のみのようだ。仕方ねぇな、砂糖は砂糖でありがたくもらっとく。
「ごめんね?」
「いい、いい。気にすんな、くれるっつー気持ちだけでも俺、幸せだ」
ぽんぽん、と頭を撫でてやり砂糖を受け取る。本当にすまなそうな顔。ンな顔すんなよ。砂糖を受け取った腕とは反対の腕で、軽く抱きしめた。爪で軽く頬に触れればなまえはふにゃふにゃと笑う。
されるがまま俺の胸に顔を埋め、もう一度"ごめんね"と呟かれた。
「……今年はこれで許してね」
ちゅ、と控えめに触れた柔らかな感触。顔が近い。そしてすぐに離れる。滅多にしてくることのない彼女からのキス。顔を真っ赤にしている彼女がどうしようもなく愛おしくて、自然と頬が緩む。
「もっかい!」
「もうしないよっ!」
甘党さんな君へ
うちのギラティナ(♂寄)は甘いものが好きでした。いかつい見た目でギャップがあるっていいな、と思います。
20090214
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