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部屋の飾り付けを済ませてディナーの用意もした、一人じゃ大変だからデオキシスにも手伝ってもらったんだけど、彼は始終変な表情で飾られていく部屋を異様な目で見ているようだった。

「なにこれ」
「これはクリスマスツリーだよ」
「この人間は」
「それはサンタクロースだよ」

あれこれ質問され、答えているにも関わらずデオキシスは理解不能だと変な表情を一向にやめない、クリスマスしたことあったよね?

……や、待てよ。そういえばこんな風に飾り付けもバッチリしたクリスマスは今年が初めてかもしれない。

「クリスマスってなに」

そしたら一番難しい質問がきた、本質はキリストの人としての生誕だよ……ね?

「えーっとねえ……神様が生まれた日で、それをお祝いするの」
「なんで知らない奴なんか祝わなきゃならないのかわからない」
「え、うーんまあ確かにそうなんだけど、今のクリスマスは家族とか大切な人と一緒に過ごして、こう、なんて言うか、贈り物とか交換したりして愛を伝えたり、とか」
「じゃあさっきなまえがおれにくれた首に巻くやつは」
「あ、マフラーね」
「そうマフラー、なまえの愛を形にしたってことか?」
「あー、うん、まあそんなとこ、かな」
「これはなんのために巻く?この季節になると人間はみんな一回り大きくなってる、でも建物の中に入ると元に戻る」

やっぱりデオキシスは不思議そうに首を傾げる、あげたマフラーをいじりながらふよふよと私の周りをうろつく、多分デオキシスが言いたいのは、防寒着のことだろう。

寒さから身を守るために人は服を着込む、屋内に入ればコートなりマフラーなりを外すから。ポケモンには着脱の必要がないし、不思議に見えるのかもしれない。

「なるほど、寒さから身を守るのか、じゃあマフラーも防寒のためのものか」
「そうだね、ってそういえばデオキシスって寒いとか暑いとかあるの?」
「さあ、おれには寒いも暑いもわからない」

あちゃ、失敗した。よく考えたらデオキシスは宇宙の出身、ある意味防寒対策はバッチリだ。秋口からがんばって編んだマフラーは結局オシャレアイテムとしてしか機能を果たさないことになる。

「やっぱり食べ物の方がよかったかな?」
「そんなことない、このマフラー気持ちいいしなまえの匂いがして、気に入ってる」
「ほんと?そう言ってもらえると編んでよかったと思うよ!」
「おれも嬉しい、なまえが愛を形にしてくれたから」
「……うん?」

ふよふよと周りをうろついてたデオキシスが真後ろで止まった、ぎゅうっと抱き着いてきたかと思ったら、人と同じ腕の形をしていたはずの腕がいつの間にか緑と赤の左右二本ずつ、計四本の……言い方はアレだけど……触手になってる。

「……デオキシス?」

嫌な予感しかしない。

「だからおれもなまえに愛をカタチにしてあげる」
「うーんと、どういう意味かなデオキシスくん」

するする這い纏わる二本、阻止抵抗しようと踏ん張る私の腕をがっちり固めて、もう二本が無防備な背中の服の隙間から侵入してくる、ちょっと何それずるくない!?

「ぷにぷに」
「おいこら今の聞き捨てならない、脇腹つつかな……っ!」
「感じる?おれのこと、もっと」

ずるい。

制止をかけてもまるで言うことを聞いてくれないし、最初から聞く耳は持ってないんだった、好き勝手にしてるデオキシスに対して本気で死ぬ気で抵抗しない私も私。

結局ほだされて、甘やかして。

「でお、き」
「たくさん知って、おれのこと」

Merry
(いつも以上に浮かれてる)

20111210
20180217再掲載
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