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夢にまで見た、そうだ、己自身でさえも否応なしに見続ける悪夢の中で、唯一の微かな希望、心が温まる、ついに成し遂げた、手に入れた、勝ち取ったのだ、俗世間のくだらないしがらみから連れ出した、彼女を、ずっと欲しかったなまえを。
名を呼ぶと、とろける甘菓子のように笑って僕を呼び返す、しかしその笑顔に反して声色はひどく、暗い、おいで、こっちにきて、僕と一緒にいて。

そんな声しないで、僕を見て、笑って。

「なまえ、君が好きだ、でも自分は嫌いだ」
「どうして?」
「こんなにもなまえが大好きなのに、僕の体質のせいでなまえが苦しむ」
「ダークライ?」

好きで好きで好きで仕方がないのに僕はなまえを苦しめる存在でしかないのだ、闇に染めてしまうのは嫌だ、しかし手放したくもない、僕の最初で最後の希望の光を、絶望から救った存在を。

それがなまえを苦しめていると知っていながらも僕にはやめることができないのだ。

「死よりもなによりも怖いのは君を失うことだ、僕はなまえを失いたくない!」
「……」
「お願い……お願いだ、なまえ、僕を置いていかないで」
「私はどこにもいかない」
「どこにも?」
「ずっとそばにいる」
「本当?」
「だってダークライ、あなたが私をここに連れて来た、一緒にいたいならどうしてそんなにマイナス方向にばかり考えを向けるの?」

嫌われたくない、でも無理強いしてでもそばに置いておきたい、ぶつかる思考、不安で不安で仕方がないのだ、今にも押し潰されそうで。

「……なまえ」
「なあに」
「好き、と言ってほしいんだ」
「好きだよ」
「もっと」
「好き」
「もっと、もっと」
「好き、大好きだよダークライ」

好きなんだ、なまえ。

「泣かないで、ダークライ」



20110731
20180202再掲載
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