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いつもオゾン層よりも上に住む彼が下界に降りてくる時、必ず絶対誰かと一悶着あるから困る。

「ったくよォ、なってねえな!奴ら俺に対する敬意ってもんをまるで持っちゃいねェ!」
(敬意云々の問題じゃないと思うんだけどな……)
「俺の通過点に居やがるなって話だ」
(っていうかレックウザも避ければそれなりに事なきを得ると思うんだけどな……)
「ま、どんな奴らもこの俺様の破壊光線でぶちのめしてやるがな!」

さっきも野生のキャモメやペリッパーの観察がてら、一緒にのんびりしてたら問答無用の破壊光線、ねえ殺す気!?

今だってあたかも絞め殺すかのような勢いで巻き付いてきて、じゃれてるつもりとか言わないでね?洒落にならないから、正直ちょっと苦しいから。

「なまえが俺を差し置いて他のオスとべたつくのがいけねェ」
「いつ私がべたついたの」
「お前は常に俺以外とばっかべたついてやがる!」
「私べたついてるつもりなんかないし、生態調査の研究してるから他のポケモンをよく観察してるだけ」
「はン!こないだもどっかのハブネークに喰われかけてたじゃねェか!」
「ハブネークは人間を食べたりしません!」
「その食うじゃねェよ、この鈍感!ああもう今日はその調査とやらは終いだ」
「そんな無茶苦茶言わないでよ、溜まってる仕事が山積みもいいところ!」
「あーうるせェうるせェ、そんなにしたきゃ俺でやれ、伝説様なんだからな、喜べってんだ」
「……ぐ」

レックウザはふて腐れながらも満足げに私をしっかり捕まえて、ぐるぐると喉を鳴らす。わがままで傲慢、自己中だし自分勝手だけど甘えん坊、仕方ないな、なんて思ったのは一体何回目なのか覚えてないけど、今回もまた、

「仕方ないなあ」

最初から甘やかしてきたのは私だから。



(愛しくて)

20120115
20180202再掲載
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テーマ「人外ファンタジー」
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