おれの主人は相当なモノズキだ、おれがモノズなだけに相当な。
「モノズううう!ああ可愛いモノズ超可愛いだだだだ!」
毎回毎回飽きもせずにぐりぐり顔を押し付けてぎゅうぎゅうしてくるんだからたまったもんじゃない、そのふやけた顔に正面から噛み付いてやれば痛い痛いと言いながらもにやにやにやにや、まったくきもちがわるい主人だまったく。
「元気なわんぱくっ子だねえ、モノズよしよしアイタタタ」
もぐもぐ、主人の名前はなまえ、いいにおいはするのにおいしくないとはどういうことなんだ、おい。
「お腹すいた?フーズ食べる?」
腹は減ってない、いらない、首を振ってやればなまえは、そっかじゃれたいお年頃ってやつね、と言う。オトシゴロってなに、よくわからん。
でもこうして構われるおれは幸せなんだと思う、世の中へいきでおれたちポケモンを捨てるやからもいるからな、捕まえといて捨てるなんざそりゃいくらなんでも身勝手すぎるだろ、マコトにイカンてやつだ。
なまえに限って捨てられるなんてことはないと信じてる、なんだかんだ言ってきらいじゃないし、時折うっとうしくても、きらいにはならない。
「モノズ大好きだよー私と出会ってくれてありがとー!」
きらいになんかなれない。
つまりおれもなまえが大好きなんだ。
Adagio
(モノズ物言わず物好きモノズ)
(もぐもぐがぶがぶ)
(痛い!愛が痛いよモノズ!)
20110801
20180202再掲載
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