pkmn | ナノ

※輪廻の続き、異種交配のようなアレ

なまえが余の子を孕んだ。

余に望まれし子、奇跡の子と呼ぶに相応しい。異種族間の婚姻は今日でこそ禁忌となってはいるが、時を遡れば日常茶飯事のことであったのだから時の流れとは残酷よ。

その昔、余が愛おしさのあまりになまえを殺めてしまってから随分と経つ、それはそれは長い気の遠くなる刻を経た、そうしてやっと、輪廻が巡り巡ってなまえを余の元に寄越した。

どれだけ、待ち望んだことか。

「アルセウス?」
「どうかしたか、なまえ」
「どうしたもこうしたも、人の顔見てぼーっとしてるから……風邪でもひいた?」
「ああ、いや」

膨らんだなまえの腹部を眺め、そっと頭を押し付けてみる、慎重に、恐る恐る、壊さぬように。なまえは余の考えていたことを理解したようで、はにかみつつそれはそれは嬉しそうに笑んだ。

名はどうしようか、どのような子に育てようか、おなごならばなまえのように気の良く美しく愛らしい子に。おのこならば余のように誇り高く世の理を築けるような子に。

「楽しみだね」
「しかし……」
「ん?」
「産まれくる赤子になまえをしばらく独占されると思うと……少しばかり妬けてしまう」
「やっだもうアルセウスってば!」

同じ血を分けた子、それでも憎いと感じざるを得ない時もあるのだ。例え我が子だとしても。

「それゆえに……」
「なに?」
「余の手中にて乱れ悶え悦ぶなまえともしばらくは会えぬだから尚更よ」
「なっ!?」
「はあなまえ真に、残念でならぬ」

羞恥で二の句が告げぬらしいなまえ、ああ本当に愛い、大切にしてやりたい、心の底から思いつつ違う場所では全く逆のことを切望する。しかし過ちは繰り返さぬよ、なまえを失う苦しみと一時的な快楽は比べ物にならぬから。

二度と失うものか。

余はなまえの傍に寄り添った。


(できることなら子はおなごがほしい)

20121123
20180202再掲載
 / 

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -