pkmn | ナノ

「ぎっくり腰、ですか」
「やはり年には勝てんな」
「そんなヤナギさん十分若いですって」
「世辞は時として人を傷付ける」
「ごめんなさい」

閉館時間、ジムの施錠を終えてから最後まで抜かりなく手持ちの微調整をしていたヤナギさんの元へ向かったら彼のジュゴンが慌てたように氷の足場をつるつると滑ってきたので、ヤナギさんは?と尋ねた矢先に呻き声。

倒れていた彼を見付け、駆け寄るとヤナギさんは、すまん動けないのだよと力無く笑ってぎっくり腰のようだと呟いた。

「どうしましょう、むやみに動かせませんしかといってこのままだと風邪をひいちゃいますし」
「いや風邪の心配はいらんが、動けんといってもこの体制はさすがに辛くてな」

ぎっくり腰はほんの少し動くだけでも痛いと聞く、無理に動かそうとすればそれこそ電気ショックを喰らったような激痛が走るらしい。

担架を使おうにも私一人ではどうにもならない、かといっていつまでもヤナギさんをこうしてはおけまいよ。

「そうだなまえ、きみのヨルノズクは確かサイコキネシスを覚えていなかったかな?」
「あ、そうか!サイコキネシスを使えばってことですね!」

その手があった、すぐにモンスターボールからヨルノズクを出す。ヨルノズクはひと鳴き。

「ヨルノズクお願い、サイコキネシスでヤナギさんを慎重に運んでほしいの、できる?」

お任せあれとでもいいたげに鳴いたヨルノズク、ヤナギさんに向かうと技を発動したのかヤナギさんの身体が宙に浮く。そのままゆっくりと動き始めて前進。

「ヨルノズク、気をつけてね」
「すまんななまえ、ヨルノズク」
「お安いご用です」

これでひとまず一安心。

「しばらくは動けそうもない、悪いがその間食事等の面倒を頼みたい」

え。

な、ヤ、ヤナギさん今なんと?

食事等の、面倒!?ヤナギさんの言葉に思わず叫びそうになった、なにもう不謹慎だけど喜ばしすぎるそんなヤナギさんの奥さん気分味わえちゃうおいしいポジション!

「いや無理にとは言わんが」
「やりますやりますやらせてくださいぜひとも!」
「そうか、すまんな、ありがとう」

これって泊まり込みとか?いや別に通いでも全然構わないんだけどほら、近くにいたほうが何かとお世話しやすいっていうか常にヤナギさんの傍にいられるっていうか、ヤナギさんのお食事風景パジャマ寝起きその他諸々見たいとかそんなヨコシマな思いは……若干あるけど、ね!

横でヨルノズクが呆れ顔を向けていた。


(ヤナギさんのパジャマ姿!)
(む、寒気?風邪だろうか)


20110430
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