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「頭ふたつ、強さも愛くるしさも2倍!さすが私のジヘッド!」
「ぼくも二人になったら強さも愛くるしさも2倍だよ!」
「いいえ、クダリさんは底抜けのウザさと鬱陶しさしか2倍になりません」
「むぎぎーっ!」

あむあむと私の手を甘噛みしてじゃれるジヘッド、それを押し退けようとするクダリさんがジヘッドの返り討ちで撃墜されました。

タマゴだったのがモノズになり、汗と涙と並々ならぬ努力の末にジヘッドとなった最近、向かうところ敵無しの私とジヘッドは常勝無敗……とまではいかないけれどイイ感じ、コンディションも最高。

「うわーん、こいつまた噛んだうわーん!」
「もう騙されませんよクダリさん、いい加減に嘘泣きやめたらどうです?」
「……」
「……」
「……チッ」
「いやいやいやサブウェイマスターがそんな舌打ちって、イメージダウンじゃないですか」

常にへらへらとした表情を一辺させて極悪人のような目付き、俯き加減での舌打ちはサブウェイマスターファンの皆さんには到底見せられたもんじゃない、正直私だって見たくないくらいだ。世間が思っているよりも腹ん中は真っ黒のクダリさん、ちなみにノボリさんはムッツリどMの変態豚野郎だと、以前クダリさんがこっそり暴露していた。(それを聞いちゃうとノボリさんを見る目が少し変わっちゃうよね)

バトルに関してはすごい人達だが、すごいと言われる人達ほど隠さなきゃならないものがあるもんだ、性癖だったり性格だったり……クダリさんは言わずもがな裏表が激し過ぎる二面性、出来れば知りたくなかったんだけど知ってしまったものは仕方ない。

「なまえはもっとぼくに愛をくれるべき!」
「なんでですか」
「だってぼくのこと好きでしょ?」
「自惚れ甚だしいですね!」
「事実だもん、そうでしょ?」

悪魔も真っ青などす黒い表情から打って変わって、コテンと首を軽く傾げながら甘い声で可愛さアピール、クダリさんファンなら卒倒ものだ。正直私も一瞬グラッときたけれど。(本当にほんの一瞬だけね!本当に!)

私のこの薄いリアクションはクダリさんが確信犯だとわかってるからこそ、知らずに目の当たりにしていたら…なんて恐ろしくて考えられたものじゃない。

相変わらずはむはむと私の手を甘噛みしているジヘッドを反対の手で撫でながらクダリさんに、トレインに戻らなくていいんですか?と声をかけたがクダリさんはぶすくれた表情で、戻らないもんね!なんて。

「ぼく、なまえがデレるまでなまえに絡み付く!」
「迷惑千万ですね」
「うぎぎぎ!」

ため息を噛み殺し、クダリさんの怒りの矛先がジヘッドへ向く前にそろそろボールに戻そうかと思いかけた。

「いつもそいつばっかり!」

しかし行動に移すのが遅かったようだ、既に怒りの矛先がジヘッドに向いていた、クダリさんはジヘッドを指差して歯ぎしり。

「そんなこと言われても、ジヘッドは私のパートナーですし」
「バトルの、でしょ?」
「ええ、だから愛情をかけるのは当たり前じゃないですか」
「でも人生のパートナーは、ぼく!」
「意味がわかりません」
「嘘、ほんとはわかってるくせに」

ジヘッドを睨むクダリさん、鋭すぎる視線から解放するためにジヘッドをボールに戻す、今度はその視線が私に向けられる。しかしジヘッドが可哀相だったとしても戻すべきでなかったことを私はすぐに思い知ることになった。

「なまえ、前に言ってたよね」
「はい?」

クダリさんが私の首筋に噛み付いてきたのだ、目にも留まらぬ速さで近付かれて避けるなんて到底無理な話。

「ちょ!クダリさ!」
「愛情表情ならいいんだ、って」
「そ、それはジヘッドだからで!」
「ぼくあの時“そいつ”とは言ったけど、“ジヘッド”なんて言ってない」
「へ、屁理屈!」
「知ってる、ぼく、なまえが好きだしなまえもぼくが好きって知ってる」
「いや、ち、違……くなくもないです、けど」
「ほら!」

クダリさんがにやぁ、とひどく腹立たしげに笑ったのがわかった、首筋にかかる吐息がくすぐったくてもどかしい、そして悔しい。

「最初からそうやって素直になればいいのに、なまえ強情ー」
「ああもう!」

もっとちゃんと自分の気持ちを整理したいのにクダリさんがそうやって責っ付くからつい言いたくなくなるんですよ!たまには引いたらどうですか!

「なまえ顔赤い!ぼく、その表情すごーく好き、珍しいから」
「ぐ……!」

言い返す言葉が見付からない。

気が付けばいいように転がされてる、最後に言った“好き”の言葉と一緒に見せた笑顔が今までにない優しさが篭っていたものだから。


(羞恥プレイだと思ってたらジヘッドが勝手にボールから飛び出してきてクダリさんに本気で噛み付いてしまった)

どぶろくーんリクエストありがとう!がんばった結果がこれでごめんね許してチョンチー!
20120219
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