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「あら、お帰りなさいなまえ」
「やあ、なまえ」
「……」

なんだろう、この気持ちはなんだろう。怒り?恨み?蔑み?ううん、多分呆れ。

「……なんで、いるんですか」
「こらなまえ、挨拶しなさい」

久々に帰ってきたというのに、なんなんだこの仕打ちは。解散してどこかへ蒸発したとばかり思っていた人物がそこにいる(きっと今頃警察に捕まってるだろうと踏んでいたわたしは一体)お母さんと優雅にティータイムとか、これが現実だなんて認めない。元ロケット団の幹部が目の前に存在しているなんて是が非でも認めたくない。

「……コンニチハ、アポロ……サン」
「久しぶりというべきかな、その節では世話になりましたね」

目の前の彼はわざとらしくにこ、と人のいい笑みを浮かべながら片手を挙げた。何しに来やがったんだ、てめ、このやろ。っていうかどうやってわたしの家を特定したのだろうか。お母さんは始終にこにこしっぱなしだし、元とはいえあくまでもロケット団。少しは警戒しなよ!と突っ込もうとして、気が付いた。

「アポロさん、シルフカンパニーの方なんですってね!なまえが会社の試作品をPRしてたなんてお母さん知らなかったわ」
「えぇ、おかげさまでより良い商品が出来ました、彼女にはとても感謝しているんです」

嘘をつけ、嘘を。

お母さんが彼がロケット団だと気付かないのはむりもない、今はロケット団の団服を着ていないし。高そうなスーツに身を包んだ彼、まあ、シルフカンパニー社員に見えないこともない。

「じゃあなまえ、せっかく帰ってきたんだししばらくお留守番を頼むわね」
「は?」
「非常にお世話になりましたからね、我が社からのほんの謝礼でシンオウ地方旅行を差し上げたんです」
「じゃ、頼むわねー」
「ちょ、ちょっとお母さん!」

非常にお世話に、というところに妙なアクセントが付いていたように聞こえたが、わたしは一切合切無視をした。ジョウトから出たことのないお母さんはえらくご機嫌で、いつの間に準備をしていたのか、スーツケースを引いて人の話もろくに聞かず、さっさと出掛けてしまった。

閉まるドアの音がいやに耳に残る、背後からはくつくつと笑い声。なに笑ってるんだこのアホロ!

「……だからなにしに来たんですか」
「理由もなく来てはいけませんか」
「はい、いけません」

むしろ来るな、という意味合いも含めてはっきりと言い放ってやれば、おや、と首を傾げながらまた笑った。なんかむかつく。

「そうですか、ならこんな理由はいかがですか」
「……は?」

逢いにきました、君に
(なっ……!)
(相応な理由だと思いませんか)

アポロさんです、断じてランスさんじゃありません(笑)口調を被らせてほしくなかったのと、もっと出番があってもよかったのにな、と思いました。

20091001
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