「サーターンー、サーターンー」
「おいこら、全部のばすと若干違う意味になるんだぞ」
「いいじゃん、別に」
「よくない、"ター"にアクセントが付くんだ、ちゃんとした名前で呼べ」
デスクに向かいパソコンの画面に向かったままのサターンは、振り向きもせずに指摘した。
彼の名を呼んだなまえは、つまらなそうに何も言わずむくれた顔を作る。
暇で暇でしかたがないのだが、相手は忙しい。
それはわかっているのだが、どうにか構ってほしいのだ。名前を呼べば一応反応してくれるのだけは、マシであると言えよう。
「サーターンー、サーターンー」
「うるさいぞ」
「暇なんだよぅ、構ってよぅ」
「知るか」
キャスター付きの椅子をがたがたいわせながらなまえは、根気よく声をかけ続ける。(諦めが悪いのだ)
サターンの背後を椅子で行き来しながら、呼びかけ続けていると、ひとつ大きなため息をついてサターンが立ち上がった。
不意になまえと向き合う(正確に言うと見下ろされている)
「気が散るから」
その言葉と一緒にバシッと何かで、なまえの頭が叩かれた。サターンの手には丸めた企画書が握られている。
それで叩かれたことはもちろん言うまでもない。
なまえが黙ったのを確認すると、サターンは再びデスクに向かいカタカタとキーボードを打ち始めた。
「……うふふ」
なまえは叩かれたところを押さえながら嬉しそうに笑みを漏らした。怒るわけでもなく、椅子に座りおとなしくサターンの後ろでじっと待つ。
そう、なまえにとって今のは合図。
『もう終わる、構ってやるからおとなしくしていろ。』
なまえは小さく頷いた。
ツンかデレかサターンの口調とキャラは難しい。
20081111
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