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「し、死ぬかと……!」

渦潮に飲まれかけること数回。
目が回って気持ち悪い吐きそう、ふらふらした足取りでやっとこさ陸地に上がる。

念願のうずまき島。

旅を続けて早数年ひょんなことから手に入れた銀色の羽根、これでまさかの!あの例の伝説の彼(彼女?)に逢えるのだ。

「海の神、ルギア!」

苦労して努力して我慢して憎いアイツ(※ライバル)蹴散らして意味わかんないロケット団ぶっ飛ばして、あたしはこの日この瞬間のために生きてきたと言っても過言じゃない!

いざ、神の元へと進軍だ!

……なんて意気込んだはいいんだけどね、迷子なんですよ早速。薄暗い湿った島の中、最深部に行くにつれて肌寒さが尋常じゃない。飛び出してくるポケモンもなかなか手強くて、これは本腰入れていかないと。

ってああそうだあたし迷子なんだ。

どうしよう、どこに向かえばいいのかななんて行く先を決めかねながらとりあえず真っ直ぐ進む。地形は入り組み急に切り立った崖のようなものや滝壺もある。

気をつけなければ、と思った矢先に踏み出した足元に地面はなくて奇妙な浮遊感のあと、引き寄せられるかのように落ちて行く。

「人生お先真っ暗、今まさにそれえええ!」

十分落下したあとは極めつけに冷たい水にダイビング、塩辛い海水が口いっぱいに広がる。ごぼごぼと沈んでいく身体、衣類が海水を吸ってまるで鉛でもまとっているようだ。
一筋の光りも差さないこの場所で朽ちて逝くなんてやだなあ、最期に一目でいいからルギアに逢いたかった。ポケットに入れておいた銀色の羽根が水中を揺らめき、離れていく。

轟々と渦巻くような音が遠くで聞こえた気がしたのち、あたしの意識はそこで途切れた。

……もさもさ、いや、すべすべ?

「うわ、あたし生きてた」

肌の至る所に感じる不思議な感触に目が覚めた、何事かとゆっくり頭をもたげれば銀色のでっかい塊に包まれていた。

そして更にその塊をよく見て絶句。

「る、るる、るる……!」
「起きたん?」
「ルギアァァァ!?」
「どーもおはよーさん」
「あ、おはようございます……って違ーう!」
「あぁ君な溺れとってん、おれが引き上げたー」
「か、か、かたじけない!(ヒィィ何という奇跡!)」
「えぇよー」

巨体を揺すりながらルギアは鎌首をゆったりと持ち上げる、何だろうこのお友達感覚。ノリがとても軽い軽すぎる。

「ひええ!?」
「ええリアクションやねえ、銀色の羽根持っとるゆーことはおれに逢いにきたんやろー?」
「え、あ、まぁ」
「嬉しいわあ!抱きしめたるー」
「抱っ!?」

ぎんいろはね
(……関西の方なんですか?)
(カンサイ?なんやねんそれー)
(その話し方……)
(普通ちゃうんー?)


関西弁プラス語尾を延ばすのが我が家のルギア!(間違った関西弁になるかもしれませんがご容赦を!)
20090512
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