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膝を抱えて縮こまる。
今の私の所在は吉継さんのお膝元、胡坐をかいた吉継さんの両脚の中に閉じ込められて、指先まで包帯で覆われている両手が腹部にしっかりと絡みついている。
僅かにずらされた口元の包帯の隙間からは真っ赤な舌が覗いて、私の耳やら首筋やらを滑るように、柔くなでるように這いずり回る。


「愛い、なまえは実に愛い、醜いわれがこうして触れても眉一つ動かしやらぬ、われの全てを知って受け入れるぬしが愛おしくてたまらぬ」
「吉継さん」
「ああ、ああ……なまえ、玉の如き柔肌を醜きわれが貪る様は異様よなァ」
「ちょっと飲みすぎたんじゃないですか?」
「なァに、ほんの数滴よ」
「嘘、数滴でこんなに酒臭くなるはずがありません」
「そうカッカしてくれるな、たまにはよかろ、日頃の鬱憤を晴らしたかったのよ、ほんになまえはイイコよなァ、われを心配したのであろ?われは天にも昇る心地よ」
「徳利数十本はいってますよね」
「その話はもうよかろ、われはぬしと乳繰り合いたい、美しく可憐に淫らななまえが見たい」


久しぶりなのかなんなのかは知らないけれど、ぐいぐいやってしまったらしい吉継さんはえらく上機嫌でそりゃあもう顔を覆いたくなるくらい恥ずかしい言の葉を次から次へと紡ぎ出してくる。
彼は酔うとべったべたのデレッデレに甘くなる傾向にあるらしい、褒め殺して褒め殺して時々自分を貶めて、そして褒め殺す。
確実に殺しに掛かってる、私を羞恥と照れによって悶死させる気なんだ。平常を装ってはいるものの、実際のところ吉継さんをどつき倒してしまいたいくらいには照れて焦っている。
今なら恐惶状態の三成さんよりも早く走ってここから逃走できる気がする、気がするだけであって、実際のところ吉継さんの拘束からは逃れられないだろうけど。


「なまえ、もっとわれに近寄りやれ、心も身体も全てをわれに」


それでもちょっとだけ落ち着いて欲しいかな、上もですけど下の方も、ね?

20140803
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