BSR | ナノ

ハロウィンの今日、私は孫市ちゃんと前々から約束をしていた手作りお菓子を交換して、ホクホク顔で一日を過ごした。


「かぼちゃタルト美味しそう、早く食べたいなあ」
「食べたければ食べればいいだろう」
「だめだめ、おうちに帰ってからゆっくり味わいたいもん」
「大したものじゃないんだがな」
「大したことあるよ、お店で売ってそうだもん!」
「ふふ、なまえがそう言うなら私も家に帰るまで我慢するとしよう」


ハロウィンという行事にかこつけ、ぽっと思い付いた提案。お互いに甘いものが大好きだから、ハロウィンになにかお菓子を食べようという話になって、せっかくだからと手作りお菓子を交換しよう!
そんな流れになった。

孫市ちゃんからはかぼちゃのタルトをもらって、私はかぼちゃのカップケーキをあげた。我ながらうまくいった、それなりの自信作。いっぱい作ったし、どうせなら三成くんにもあげようかな、と思っていたら、三成くんは突然やって来た。
ま、まだ噂話もしてない!


「ひっ、三成くん!」
「なまえ!」
「は、はい!」
「……」


三成くんは私の目の前にやってくるなり、孫市ちゃんと私の手元を交互に見てグッと眉をひそめた。


「……それは、なんだ」
「え、えっとこれ、あの、今日はハロウィンだから」
「ハロウィン……」
「う、うん、それで手作りのお菓子を交換しようって話になって」
「手作りだと!?」
「ひゃ!」
「雑賀が持っているものはなまえの手作りということか!」
「あの、み、三成くんもよか、よかったら……いる?」
「いるに決まっている!」


クワッと切れ長の吊り目を見開いて詰め寄ってくる三成くん、のけ反り気味に半歩ずつ後退り。孫市ちゃんはやれやれまたかと呆れ顔、助けてよ!


「さァ私に悪戯をしろなまえ!」
「ひぃ!」
「何でも構わん、さあしろ!」
「や、ちょ、みみ三成くん近い、近い!」
「なまえ!」


大変だ、また三成くんが暴走を始めた、こうなった三成くんはてこでも動かないし一度言ったことは撤回しない。何が何でもだ。
だからと言って悪戯なんて、後が怖いからできるはずもなく、ものすごい形相の三成くんを前にして私はおろおろするばかり。

しかもなんで私が悪戯しなくちゃいけないの!?
早くしろ!とせっつかれて咄嗟に取った行動が、タックルよろしく三成くんの懐に飛び込むこと。私のタックルなんて高が知れているから大したことはないようで、細身ではあるけれど三成くんはよろりともせず、私を受け止めた。

その状態からどうしたらいいのか、そっと下から三成くんを見上げると、こちらを食い入るように見下ろしている三成くんと目が合った。(だいぶ怖かった)自分のしたことが急に恥ずかしくなってすぐに俯くと、ギチギチ抱きしめられて私の方が悪戯されている気分。

く、くるしい!耳元でうっとりしたため息が聞こえたと思ったら、すうっと意識が遠退いていきました。

7thハロウィンフリリクのサルベージ
20150331
 / →

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -