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リレー、障害物競走、二人三脚、全ての種目において三成くんが出場したものは凄まじいこの上なかった。
ぶっちぎりもいいところ、三成くんの独壇場、全ての種目を堂々の一位で飾り立て、満足げに、そして誇らしげに三成くんは私に言った。


「この勝利をもって全てをなまえに捧げると誓う!」
「え、あ、うん……あ、ありがとう」


クラスが違うし、三成くんががんばってくれてもあんまり意味ないと思うよ、なんて口が裂けても言えない。
三成くんは私とクラスが違うってことわかって言ってるのかな。うちのクラスの出場者がすごい目で見てるよ三成くん、石田てめえイヤミかコラって視線を投げかけてるよ、多分彼らも三成くんが怖いから口にしないだけだと思うけど。

それにしても陸上部のエースだけあって本当に三成くんは速かった、恐惶ダッシュするまでもなくぶっちぎってたもん。
あ、でも二人三脚は悲惨だったなあ、三成くんとペアになってた人が。
協力する気ゼロだったもんね三成くん、ペアの人が完全に引き摺られててもお構いなしで走ってたし、ペアの人白目剥いてたなあ……。あの人大丈夫かな。


「三成くん、次は借り物競走だっけ」
「そうだ」
「えと、がんばってね」
「ッ!次もなまえに勝利を捧げてやろう!」
「は、はは……」


意気揚々と入場門の方へ向かった三成くんの周りはなんだかすごいオーラでいっぱいに見える。さっきも竹中先生と豊臣教頭先生に応援してもらってたみたいで、俄然やる気……いや、殺る気だった。他の出場者が完全に怯えきってたもん。

次は〜借り物競争〜借り物競争〜。

電車のアナウンスみたいな放送が入って、続々と集まっていく借り物競争の出場者、スタートラインに並んで三成くんの横に徳川くんが並んでいる。


「いぃえぇえやぁああすぅううう!」


うわあ……こんなに遠くても三成くんの声はよく通る、うわあこんな状況なのに笑ってるよ徳川くん、借り物競争が地獄絵図にならないことをひっそり願いながら、スタート合図であるピストルの音を聞いた。

50メートルほど走った先に紙が配置してあって、走者はそれを拾って紙に書いてあるものを持ってゴールへ向かわなければならない。時々無理難題のものがあったりするからある意味デスマッチ。
走者がそれぞれ置いてある紙の元へと猛ダッシュ、想像通りに三成くんと徳川くんが接戦で紙の元へと到着した。

ほとんど同時に紙をもぎ取り畳まれてる紙を開く、両者譲らず同じタイミングで紙を握りしめると、一直線に向かってきた。
どこへって、私の方へ。


「ひ……!」
「家康ウウウ!何故ついてくる!」
「え?ワシもこっちに用があるから仕方がないだろう」
「散れそして消えろオオオ!」
「おっと危ない」


目の前で繰り広げられる攻防に縮こまっていると、ひらひらと二枚紙が足元に落ちた。多分これは借り物競争のやつだ。そっと拾い上げて中を見てたまげた。
一枚には【略奪愛】で、もう一枚には【純愛】どっちがどっちの紙を持っていたのかなんてことは聞かなくてもわかる。私からしてみればはた迷惑な借り物だ。


「すまんな三成!ちょっとなまえを借りるぞ!」
「させるものかァアアア!」
「ひいい!」


結局、ターゲットにされて、どちらにも捕まりたくなかった私が逃げ続けたので借り物競争は両者ともに時間切れで強制棄権となりました。

(家康貴様ァ!私からなまえを奪おうなどとふざけた真似をォオオ!)
(ははは冗談に決まっているだろう、三成は堅いな!)
(徳川くんお願い煽るのやめてえええ!)

20150315
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