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シンプルなんだけど、ところどころにフリルがあしらわれて上品で清楚なイメージを作り上げるウエイトレスの衣装、ウエイターは白いシャツにベルベットのリボンタイ、腰に巻くタイプのエプロンとスラックスは黒。それぞれどちらも上品で落ち着き溢れるものである。


「なまえ!こっちを向け!そんな輩の方になど向かなくていい!私を見ろ!」
「あ、あの、三成くん、近い……近いしちょっと他の人の迷惑になっちゃうから」
「刑部!カメラのデータがメモリ不足だとほざく!どうしたらいい!」
「ああヤレ困ったコマッタ、あれだけ連写を繰り返せばメモリ不足にもなろ、いらぬ写真を消せば良いだけのことよ」
「ふざけるな!写真に収めたなまえでいらぬものなどないッ!」
「ヤレ困ったコマッタ……」


落ち着き溢れる喫茶店は、三成くんの怒声によって行方不明。
大谷くんは困った困った言うくせに呑気にあんみつ食べてるだけだし、コーヒーフロートに砂糖大盛りで、って大谷くん見た目に反してとっても甘党なんだね!びっくり!


「なまえ!刑部にばかり構うな!もういいここに座れ!」
「え、え!?」
「ここだ、私の膝だ!」
「いや三成くん今はちょっと……あの、ほら」
「周囲の目など気にするな!」
「そ、そういう問題でもないというか……」
「おい貴様ら向こうを向け、こっちを見るな!なまえの恥じらう姿を私以外の者が視界に入れることは許可しないッ!」


ぐいぐい引っ張る三成くん、どうにか踏ん張ってお膝に着席は阻止してるんだけど、三成くん力強い!線が細いのに見た目に反して力強い!大谷くんもだけど、三成くんもギャップ持ちなんだね。

ああもう、これじゃあクラス展示が思うように回らないよ、他のクラスメイトは触らぬ神になんとやらで助けてくれないし、孫市ちゃんも今は不在だ。
どうしよう絶体絶命!


「恥じらう必要などどこにもない、なまえ、私を見ろ」
「……っ!」
「ここはそういう店ではないぞ石田」


三成くんの片腕がするすると腰に巻き付きかけたところでガン!とすごい音がした。同時に三成くんが傾いて、向こうに現れたのは救世主、孫市ちゃん!


「大谷、このなまえ馬鹿を連れていけ、展示の邪魔だ」
「あいわかった、全く三成にも困ったものよ、日に日にわれの手に負えなくなる」
「ふん、しばらく校庭の木にでも縛り付けておけ」
「孫市ちゃん、それはさすがに可哀想じゃ……」
「そうでもしなければなまえ、公開処刑まっしぐらだぞ」


そ、それは困る!
ヒッヒヒ、と不気味な笑いを残して大谷くんは気を失っている三成くんを引きずって教室から出て行った。まるで嵐だ。
今日一日持つかなあ、不安と恐怖に駆られつつ孫市ちゃんを見る、肩を竦められてクラスメイトはみんな私から目を逸らした。ひどい。


(私からなまえを奪うことを赦しはしない!)
(ひいっ!ままま孫市ちゃん!三成くんが木を背負ったままこっちに来る!)
(……化け物かあいつは)

20141118
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