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もうすぐ学園祭がある、他の学校と比べたら少々遅い時期だ。うちの学校の学園祭は三日間かけて行われる、初日に前夜祭的な位置付けの体育祭、二日目と三日目はクラス展示だったり、独特の催し物、あとは有志でバンドをやる人がいたり、バザーがあったり、屋台が出たり。

結構フリーダムにいろいろできる方針がうちの学校のいいところ、そういう自由な方針ってわりとめんどくさがっちゃって、てきとーでいいやみたいな人が少なからずいると思うんだけど、びっくりすることに、みんな毎年すっごいやる気なの。

理由は簡単だ、バザーとか屋台を出せばお小遣い程度のお金が入る、でもまあ微々たるものだけど、それはそれで嬉しい。

そういうこともあるんだろうけど、一番大きいのは体育祭とクラス展示。その二つは点数制になっていて体育祭は優勝したクラスに、金一封、学食の高級ランチ定食(べらぼうに高い!そしてミシュランもびっくりな美味しさ!)の一週間無料券がもらえるのだ。
クラス展示も、一般の人達に公開されていて、来た人達に一人一枚アンケート用紙が配られる。
それにどのクラスの展示が一番良かったか投票してもらって、一番人気のあったクラスには何かすごいご褒美があるという。
それは毎年違うもので、何がもらえるのかは後でのお楽しみ。

ちなみに去年優勝したクラスは、体育祭でも優勝していてその年の夏休みの一部を使ってクラス全員がハワイ旅行に連れて行ってもらったと自慢げに話していた。(羨ましすぎる!)

そりゃあもうみんなやる気もさることながら、俄然他のクラスを殺る気満々、クラス展示も毎年凝ったものが作られたり、メイド&執事&下僕喫茶なるものがあったり、遊園地のアトラクション並みにバイオハザードみたいな体験型展示があったり、本当に年々凄さを増している。

ちなみに去年の私達のクラスはアロマテラピーと簡単なマッサージをするという癒し系で攻めた。そういうのに詳しい子がいたおかげで、そこそこに人気があったけど、残念ながら優勝には及ばなかった。それでも楽しかったなあ。
体育祭はズタボロだったんだけどね。

今年はどうなるんだろうなあ、そんなことを考えながら廊下を歩いていると、後ろから聞き慣れた声に呼び止められた。


「なまえ」
「あ、孫市ちゃん、今日はもう部活は終わり?」
「ああ、学園祭も近いからな、少し早めに切り上げた」
「毎年準備が大変だもんね、私もくたくただよ」
「なまえの場合は石田の世話もあるからな、疲れるのも無理はない」
「あは、はは……否定はしないよ」


それで今年のうちのクラスは展示に何をやるのかというと、喫茶店である。他のクラスが強豪過ぎて勝てる見込みなしと踏んだために、ちょっとでもいいから小遣い稼ぎをしようという魂胆で。

ちなみにメニューはデザート系メインに簡単なものばかりだけど、和洋中なんでもありになっている。パフェやあんみつ、ホットチョコレート、既製品をちょちょいとアレンジ、デコレーションして出すのである。

校内を周り疲れた際の休憩時にはぜひどうぞ、落ち着いた雰囲気と物腰柔らかなウェイトレス、ウェイターがお出迎え。コンセプトは素朴な安らぎ空間、準備はそれほど大変ではないけれど、買い出しだったり教室内の飾り付けに多少神経を擦り減らした。


「当日はウエイトレスウエイター共に短時間交代で当番制だからさほど忙しくはならないだろうな」
「うん、それに厨房係もサクサク回るように設定してあるから準備は万端だよ」
「全員が展示当番をしながらも、空き時間は他のクラスの展示を見に行けるように、か」
「あ、それからね、衣装は演劇部から借りれたみたいで、ドンキでもおもしろい衣装があったって言ってたっけ」
「まさかメイド服だなんて言わないだろうな……?」
「それもあったけど、オプションで獣耳が」
「……最悪、だな」


孫市ちゃんは嫌がるだろうけれど、豹の耳と尻尾が似合いそうだよねって話になってたからきっと装備させられちゃうんだろうなあ。
それにスタイルもいいからウエイター衣装だと思うな、孫市ちゃんは。


「ところでなまえはまだ帰らないのか」
「うん、三成くん待ちだよ」
「健気か」
「ち、違うよ!三成くんがまた怖い顔で『待っていろ!』って脅す……あっ、えと、そう言ったから」
「……そうか(物陰に隠れているんだろうが、バレバレだぞ石田……もの凄い形相でこちらを睨んでいるぞとなまえには言わないでおこう)」
「孫市ちゃん?」
「いや、私は帰る、なまえも(主に石田に)気を付けて帰るんだぞ」
「え?う、うん」


孫市ちゃんにもの凄く心配されていたなどとは露知らず、なんだか妙な間があったような……と感じつつも私はそこで孫市ちゃんと別れた。

その後飛び出してきた三成くんに死ぬほどびっくりするのである。


(なまえのクラスは喫茶か、なるほどなまえのウエイトレス姿……カメラが必要だ!)
(あれっ、凄い寒気が……)

20141118
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