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運命だの宿命だのうさんくさい単語を連発しやがる目の前のイケメン、むしろ小馬鹿にしてるのかと聴きたくなるほどに私のことを褒めまくる。とにかくひたすらに、延々と彼の口は言葉が尽きることを知らないらしい。特に恋愛系の胡散臭い言葉が。


「ああっ!今日の俺はなんて幸運なんだろう!」
「私はなんて不運なんだろう」
「君のような女神とこうして言葉を交わせる幸せ!」
「あんたみたいな疫病神に捕まった私の気持ちにもなれよ」
「君という存在が眩しすぎて直視すると照れてしまうよ!」
「その目玉、照り焼きになってしまえばいいのに」
「今日今この瞬間から俺という箱舟に乗って、愛や恋といった大海原を大冒険してみない?」
「一人で大航海して遭難なりなんなりしてください」
「遭難だなんてやだな、俺はとっくにその大海原で溺れているよ、君のおかげでね!」
「こいつとしゃべるのもうやだ……」


見上げたネバーギブアップとでも言っておこうか、ああ言えばこう言う、こっちが万策尽きるっつーの。それにこのセリフ言うの私で何人目?途中で引っ叩かない辺りを感謝してほしいくらいである。
女の子なら誰でもいいんだろうね、ぶん殴られたいの?ぶん殴っていい?主に顔を中心に。


「やだな、これはなまえだけのために考えたオリジナルだ」
「なにその鳥肌発言」
「君は一筋縄じゃいかなそうだったからな、シミュレーションは何万回妄想したかわからないくらいだ、このままうまくいけばゴールインできるはず」
「ないないないない」


否定否定、この流れからどうやってゴールインさせんの。見込みなさすぎでしょこれはいけないパターンだろどう転んでも絶対にムリなパターン。


「なまえ!好きだ!」
「おとといきやがれ」


とりあえず引っ叩いておいた。ありがとうございます!って言われたんだけどこれ以上対処のしようがないんだけど誰かヘルプ。

20150828
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