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恐怖以外の何者でもない。

彼女の名前はみょうじなまえ、転校生である。ガッチガチになりながら自己紹介をして僕の左側の席につき、今現在もガッチガチだ。

僕の気苦労が絶えない、僕の人生で心の中が読めない人間はこれで二人目になってしまった、一人目は燃堂、こいつがまた面倒でうざいのは誰もが知ることだからいろいろ割愛する。

しかし見たところ彼女は至って普通でどこも変わった様子が見当たらない、心の声が聞こえないだけでなく透視能力も機能していないから、新手の超能力者かと疑ったがそれはどうやら杞憂らしい、それでも気を抜くにはまだまだ早い。

僕は密かに他の能力を試してみることにした、みょうじさん自身が透視出来ないのならば彼女の持ち物はどうだろう、鞄をじっと見つめてみる。

……視えない。

よし次だ、テレパシーの受信が出来ないのなら送信はどうだろうか、天使の囁き、虫の知らせ、強制以心伝心、僕の方からテレパシーを送ってみても変化はない。


(え、なんか、今……)
(心の天使が俺を戒めている?)
(嫌な予感がしたような)


クラスメイトのうち2、3人がきょろきょろしているということは、テレパシーがみょうじさんには届かず、何らかの原因で弾かれ周囲の人に強制受信されたんだろう。テレパシーの応用、好感度メーターも無反応だった。

これ以上の能力を試すのは教室だと都合が悪い、もう少し様子をみよう。


(みょうじさんかあ、まだ緊張してるっぽいなー)
(照橋…おっふ…さんには及ばないけど結構可愛い感じ?後で話し掛けてみっか!)


ちらちらとみょうじさんに注がれる視線、僕も例外ではないが僕の場合は興味本位ではない、僕自身の生活が脅かされるような存在であればなるべく距離を置きたい、だからあくまで危険度を測るためだ、平穏な生活送るためにも彼女のことを調べなくては。

ひとまず彼女の家の場所を探ろう、今日の授業は大したことない、早速千里眼で教室の黒板から視界を町へ切り替えた。


はじめての焦燥感

20130519
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