WJ | ナノ

気怠さが残る体、ぼんやりする頭で自分の部屋の天井を睨む。薄暗い室内に枕元の時計を見ればLEDの文字盤が19:00を指したところだった。
もうこんな時間、朝学校に行ったばかりだというのにホームルーム前に敦と言い争いになって、頭に血が上ったせいで勢いに任せて教室を飛び出した。

言い争いとは言いがたいかもしれない、私が勝手に怒鳴り散らしていただけだから。
それでそのまま体調が優れないからっていう理由でアパートに戻ると、着替えもそこそこにベッドへと沈んだ。スカートはしわくちゃだし、皆勤だった学校生活も勢い任せで予定が狂った。サボるつもりなんでサラサラなかったのに、初めてやらかした。

敦の前でこんなにたくさんぶちまけたのは一体いつぶりだろう。


「最っ低……」


さほど広くない部屋だということもあって、自分の声がよく通る。敦と喧嘩らしい喧嘩は今まで一度もしたことがない、なんだかんだ言って私は敦を甘やかしてきたから。望まれれば渋る素振りを見せながらもなんだって叶えた。
それは幼馴染として、あくまで保護者のような面をして。

嫌われたくないのが第一だったし、この距離感が丁度よかった。考えれば考えるほど悪いのは私の方だと思わざるを得ない、自分が傷付きたくない一心で敦の言葉を全部跳ね除けてきたんだから。耳を貸さなかった、昔言っていたことを言及しようともしなかった、保身のために。

本心を聞くのが怖い、いつかそばからいなくなってしまうのが怖い、私じゃない女の子が知らないうちに隣にいたらどうしよう。きっと恨むことになる、知らない女の子と一緒にいる敦も、知らない女の子も、何より逃げ続けた自分を蹴り潰してやりたくなる。
本当に最低だ、素直になれない自分が心底嫌いだ。ぐずぐずとベッドに沈んで皆勤もパアになったことだから、もういっそ明日も学校をサボろう。行きたくない、氷室とも顔を合わせにくいし何より敦に会いたくない。

こんなに身勝手でひとりよがり、イヤな女ランキングがあれば絶対上位に食い込む私なんかが1日2日いなくてもなんの影響もない、むしろ清々するんじゃないかな。

……なんて、もっともらしい理由はこじつけだ。これすらも自分が逃げるための口実、私にとっての最善。そうでもしなければ押し潰されそうだから、ずっとそばにいた敦がいなくなる寂しさに負けそうになるから。

20160521
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