short | ナノ
それはそれは美味そうに食べているものだから綻んだ顔を見ていてついこちらまでも微笑ましい気持ちになり、自分の分までも差し出したくなってしまいどうぞ、と掛けた声に驚いたように見返されるも、更に溢れんばかりの笑顔でいいんですか、と尋ねられた時にはもうむしろ全てをくれてやっても構わない、とまで思ってしまったほどだ。

いつもと変わらぬ昼食時、いつもの席でいつもの定食を食べていると、たまたま目の前に座ったのが彼女であり、見掛けぬ顔だな、と思った。

彼女は友人と並んで座り、目の前にいるためか話していることは全て筒抜けている。どうやらせっかく作った弁当を忘れてきたらしい、ならば見掛けぬ顔だと思ったことにも合点がいく。

そして食事を始めた彼女の幸せそうな表情に思わず声を掛けたのだ。しばらくはその表情を見ていたかったのだが、彼女の携帯が震え出た途端に真っ青な顔をしてその場を飛び出してしまう。友人も慌て後を追い、目の前の視界が急に広くなってしまった。

"総務課 みょうじ なまえ"

と、そこに転がる社員証(首から下げるあれだ)手にとって目の前にいた彼女を思い出す、確かに首から下げてはいなかった。間違いなく彼女の物だ。ああ、この部署は確か夏侯惇殿の管轄だったはず。今から彼女へ社員証を届けに行こうかとしたところ、背後の席から気になる話題が聞こえてくる。どうやら今の電話は同僚がヘマをしたようだ、しかもその同僚が恋人だと。

そうか恋人がいたのでは仕方あるまい少し様子をみてみようか、社員証は夏侯惇殿から返してもらうようにしよう。時計を確認してから席を立ち、私は食堂を後にした。


今、狩りに行きます
(まずは待機、そして情報収集)
_____________
ぶんえんは きになるこ を みつけた 。

こっから文遠のターン(またか)求愛ヘッドハンターと一応リンクはしていますが、特に切り離しても害はないようなお話にしてみました。若干ヒロインの性格が違っているような気がするのはご愛嬌ということで。(あ、タイトルが何となくズレているというのもご愛嬌ということで!)

20091217
20151113修正
 / 
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -