short | ナノ
気持ちのいい緩やかな日差しが降り注ぎ、ゆるゆるとろんと瞼が落ちてくる、このまま沈むように寝てしまえたらいいのに、と思いはしたが眠れないわけがある。今は大事な軍議中、とは言ってもよく喋るなまえと二人だけなのだけれど。

「……と、いうわけでして、関興殿?聞いておられますか、関興殿?」
「……」
「関興殿!」
「……ん」

耳元で大きく名前を叫ばれた、鼓膜が破けるかと思うほどの衝撃に背筋が伸びる……気がした、いけないいけない、うっかり眠ってしまいそうだった。なまえが普段はぱっちりしている目を細めて「困ります」と呟いた。

ごめん、どうもこの時間になると眠くて……眠くて。

「お気持ちはわかります、ですが今は私の話を聞いててもらわねばならなりません」
「……うん」
「半分寝ながら返事するのはやめてください、っていうか起きてください!」
「起きては、いる」

全くもう!と目くじらを立てるなまえが、きちんと話しを、と長い長い小言に入りそうだったから、私はなまえの衣服の裾を軽く引いた、首を傾げて一旦口を閉じたことで気を逸らすことに成功したと悟る。

眠たくてうつらうつらしていた私だけれど、話はきちんと頭に入っている。新しく投入される兵器の使い方は月英殿によく聞くこと、最近兵の伏せ方が雑になっているところがあるから根本的なところから見直すこと、それから、あとは……。

「関興殿はきちんと食事をとること!」
「ああ、そうだった……忘れていた」
「勉学や鍛錬に励むのも大切ですが、それらをきちんとこなすためには、相応の体力を付けた身体が必要なのですから」

私はついつい食事を忘れてしまいがちになる、武を磨くためにもたくさん食べて筋肉を付けなければ、そうなまえは言う。なんだか銀屏みたいだ、そういえば銀屏はよく食べる、私もよく食べれば銀屏のようにもっと力強くなれるのだろうか。

いい食事を、となまえは言うが、何を食べたらいいのだろう、ああ、それに見ず知らずの人が作ったものはあまり食べたくないな、そうなると……うん。

「関興殿、しっかり食べるのも大切ですけれども偏りなく食べてくださいね?」

なまえが作ればいいと思う、きっと腕によりをかけてくれるはずだから、毎食なまえの手料理……悪くない、全然悪くない。

「関興殿聞いてます?」

つまりなまえと一緒にいる時間も増える、何故だろう、とても嬉しくなってくる。

「おーい関興殿ー」

なんだか夫婦みたいだ、ああそうだ、夫婦になってしまえばいいんだ、必然的になまえは私に食事を作ってくれることになる、ちょうどずっと一緒にいられたいい、そう思っていたこともある。

「……なまえ」
「やっとお返事を……で、なんです?」
「私と、結婚しよう」
「……はい?」

ん、先に愛してるって言った方がよかったのだろうか。




20140222
20200422修正
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