short | ナノ
はてさて、どうしたものか、どうしようものか。

私の趣味趣向を洗いざらい語り尽くし、この燃え盛る愛を伝えたところでなまえはひどく、ひどくうんざりしたような不細工極まりない表情を作り上げた。そんな表情も実に実に愛らしい!不細工などと揶揄したものの、実際のところはとんでもない!どれもこれもそそられる仕草、愛すべき感情の全て、耳に通り私の中へと染み込む美しく心地の良い声色!

ああ、ああ!なんと素晴らしきこの世の中、なまえがそこに、すぐそこに存在しているというだけでこんなにも満ち足り心安らげる。数々の求愛そして求愛、枯れ尽きることのないなまえへの恋慕の情は日に日に大きく深く、壮大なものへとなってゆくのです!

「正直、気持ち悪いです」
「なんと、なんと嘆かわしい一言!」

それを……それをなまえは気持ち悪いの一言でばっさりと!

「この陳公台の純粋かつ壮大な愛を……気持ち悪いとは……」
「どこが純粋ですって?んん?」
「一途な、一途なこの愛は純粋以外の何物でもありませぬぞ!」
「不純物混じり過ぎだと思います」
「私のどこに、一体どこに不純物があると申されますかな!?」
「とりあえず一番の不純は趣味趣向ですかね」
「なんと!」
「いや、そこ驚くとこじゃないですし」

呆れ返るなまえにもまた胸が高鳴りますなあ、ふむふむ、それで私の趣味趣向のどのあたりが不純であるのかご説明願いたい。

「普通に考えてください、同じ食器で食事が摂りたいだとか湯浴みは絶対一緒がいいとか使用中の寝具一式寄越せですとか陳宮様は常識という言葉をご存知ないんですか?」
「なまえ」
「はい?」
「公台と、公台と呼んでは頂けませぬかな?」
「人の話を聞け!ください!」

ああ、怒った表情もまた……なんとも言い難い!胸が高鳴って高鳴って仕方がありませぬぞ!

「はあぁ……愛くるしいなまえこのまま食べてしまいたいほど!」
「ちょ、陳宮様!お戯れが過ぎま……どこ触ってんですか!」
「なだらかな曲線美とはまさに!まーさーにこのこと!腰から尻にかけてのこの部分!たまりませぬなあ」

腰から尻にかけてを撫でくりまわし、衣服の隙間にすかさず己の手を差し込む、ぎゃ!と色も艶もない声をあげるなまえもまたなんと愛しきことでしょう!

それではそれでは、おいしく頂くとしましょうぞ!

ああ、愉快愉快!

その軍師、アブノーマルにつき


20131208
20200421修正
 / 
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -