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大きい背中を見つけてぱっと飛びついた、勢いがついていてもびくともしないところが実に魅力的。

「……どうした」
「んふふ、あのねー」

行事事に無関心そうな周泰さんだからきっとハロウィンも忘れてる。そう確信を持って突撃をかましたわけなのだが。

「トリックオアむぐう!」
「……いいものを、やる」

周泰さん忘れてなかった。おおよそ彼に似つかわしくないようなキャンディ、しかも大きいあれだ。渦巻き型のぺろぺろするやつ!
それを肩越しに口へとぶち込まれた、痛かったけど甘い美味しい。ピンク色のそれをぺろりひと舐め、うんやっぱり甘い。

「……オア」
「うん?」
「……トリート」
「はい?」

ぼそ、と呟かれた一言に虚をつかれる。え、周泰さんもそういうこと言っちゃう?私が言いかけた言葉の続き。一瞬頭の中が真白になって、慌ててもしものために装備していたお菓子をポケットの中から引っ張り出した。

……のはいいんだけれど、そのお菓子を周泰さんは器用に私の手からはたき落としてくださった。わっつ、はぷん!
何が起きた。
周泰さんはおぶさっている状態の私を掴んで(掴んで!?)横抱きに持ち替える、状況が理解できなくて、周泰さんの腕の中でわたわたしていると、彼は薄く、怪しく笑った。

「……悪戯、あるのみ」

いやいや待って!ちょっと待ってジャストモメントですよ周泰さん、私お菓子持ってたからね?周泰さんそれをはたき落としてくれたよね?
ちょっと無視しないでください聞いて!

「……黙ってなされるがままでいろ」
「周泰さ、んんん!?」

抱かれたままだから当然逃げ場なんてない、好き勝手にあちこち唇を寄せてくる。避けることも叶わない、そもそも避けることなんてできないんだ。

じいっと奥の奥まで見透かすような眼差しに絡め取られて、結局何もかも許しちゃう。
ええい、もうどうにでもなってしまえ!照れ隠しにぎゅうと逞しい首に腕を回して抱き着くと、周泰さんがくすぐったそうに笑ったのが感じ取れた。

7thハロウィンフリリクのサルベージ
20141202
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