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家中のあらゆるお菓子はすべて、すべて排除!今日この日だけはなまえを外出させぬよう努め、今現在リビングでくつろぎながら呑気にテレビを見ている彼女にこの陳宮、一世一代のいたずらを仕掛けましょうぞ!と強く、強く意気込んだ。

そう、本日今日この日はハロウィン。
いたずらと言う名目の元、ちょっとばかり度の過ぎたいたずらも許されるこの日を逃すはずが、逃すはずがない!
この日のために準備は万端、なまえは完全に無防備、お菓子の類は身に付けておらず、用意もないはずである。

トリックオアトリート、そう告げてなまえにできるのはただただ私にいたずらをされるということだけ!ですぞ!
始めから選択肢がない?それでは聞く意味がないと?そのような不粋なことは聞かないで頂きたい、邪道で結構、大いに結構、私はなまえにいたずらさえできればそれで良いのですからな!

「あははこの芸人さんおっかし〜!」

未だテレビに夢中のなまえの背後へと忍び寄る、気配に気付いたなまえが少しこちらを振り向いて、私に声を掛けてくる。

「あ、陳宮さんも一緒に見よ、この人面白すぎるよ」
「ではではご一緒させて頂きましょう」

背後から抱きすくめ、なまえを腕の中に閉じ込める。「陳宮さんてば、もー!」身じろいだものの嫌がるそぶりはない、ふわり甘い香りが鼻腔をくすぐる。

「なまえ」
「んー」
「今日はなんの日かご存知ですかな?」
「え、ハロウィンでしょ?」
「ご名答!では話が早い、トリックオアトリート、ですぞ」

ぎゅう、と腕に力を込める。言ってやりましたぞ、さあなまえ、私にいたずらを、いたずらをさせて「ほい」んんん?!

一度は前を向いたなまえが再びくるりと顔だけをこちらに向け、にいい、と笑うと唇を押し付けられ口内に何やら押し込まれる。
あ、あま、甘い……これは、飴?

「へへ、陳宮さんのいたずら破れたり〜」
「なっ」

一体、一体どこに隠し持っていたというのか、ニヤリと笑うなまえの小憎たらしさといったら!しかし可愛い!

「あは、陳宮さん苦しいよー」
「なまえなんかこう、こうですぞ!」

悔し紛れにきつく、きつーく抱き締めて離してなんかやりませぬぞ、今日はもうずっとこのままで!

7thハロウィンフリリクのサルベージ
20141118
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