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あたしはお茶汲みだとかコピー係じゃないんですけれども、どうやらそれに近しい存在になりつつあるようだ。遺憾極まりないので上司に訴えようと考えはしたが、訴えたいのがまさにどんぴしゃ上司であるため「元」上司のところへ行こうとしたところを捕まってしまった。不覚。


「なまえ、仕事を放ってどこへ行くつもりですかな?」
「これも仕事のうちですご心配なく訴えられてください」
「何のことやら」
「パワハラ、セクハラその他諸々ですよ!しらばっくれても無駄ですからね!」
「なんと!パワハラのみならずセクハラまで受けていたとは、その羨ま、いや不届き者は一体どこの輩ですかな?」
「……」
「なまえ!怖がることはありませんぞ、この私が身を呈して守ると誓おう!」


自覚があるのかないのか。

この人もういやだ、羨ましいって言いかけたのばっちり聞こえたんですけど。パワハラもセクハラもあんただよ張遼さん、全部あなたですよこの野郎!そう叫びたいのを堪えて拳を握った。

あたしは少し前にいい加減な彼と別れた、それがきっかけだったのか悪夢の始まりだったのか。元々は夏侯惇部長の下に居たのだが突然別の部署の鬼部長、張遼さんに引き抜かれた。いわゆるヘッドハンティング。理由は未だ謎、なんであたし?

自分で言うのは些か憚られるが仕事は人並み以上に出来ているとほんの少しだけ思っている。でも元居た部署と今の部署は仕事内容がまるで違うから、出来不出来で引き抜かれたわけではない。

そうなると考えられる理由はただひとつ。


「張遼さんよく聞いてください」
「安心されよ、なまえの今までに言った言葉は一字一句全て記憶している」
「黙って聞いてください、あたしはあなたの」
「おお、ついに身も心も繋がる決心をしたのですな!」


違う!人の話を最後まで聞け!何でこの人黙って話を聞けないんですか、上唇と下唇縫い付けてやりたい今すぐに!とっても!


「夏侯惇部長のとこに帰りたいです!」
「浮気か!?許しませんぞ!」
「あたし達そんな関係じゃないですよね!?」


泣く子も黙る鬼部長と謳われてた人じゃないのかこの人は、ただのセクハラパワハラ上司じゃないか!結局張遼さんはあたしの話しをまともに聞いてくれなくて、何の解決にも至らずにまた一日が終わってしまいました。



(蓋を開けたらなんとやら)

20121226
20151113修正
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