WEEKLY☆KAZEKAGE | ナノ

だらだしていたい日曜日。

昨日は何だかんだで日用品を買い揃えたり、細々としたやることが多くあった。ちんまいサイズの我愛羅用に、一緒に買い物へ行こうと誘って始めのうちは渋った我愛羅を言いくるめて早々に出掛けた、外を怯えるようにしながら歩く我愛羅の手をしっかり握れば小さい手が離さないでと言いたげに握り返してくる。

堂々とまではいかないが、我愛羅は少しだけ安心してくれたようだ、私は昔の我愛羅を話しでしか聞いたことがないから彼の辛さと苦しみを完全に理解することは出来ない、寂しい過去を生きいた丁度その時の我愛羅が今ここにいる。

我愛羅は私が守らなければ。

そんな使命感、余計なお世話だと言われてしまったらそれまでだけど、そう言われたとしても私がそうしたいからしてるだけ。自己満足甚だしいかもしれないね、でも気にしない。

「我愛羅今日何食べたい?」
「え?」
「ハンバーグとかさあオムライスとか、好きな食べ物あるでしょ?」
「つくって、くれるの?」
「私が作らなきゃ誰が毎食作るってーのよ、今朝だってそうだし」
「なまえに、つくってもらえるなら……全部たべる」

破壊的な可愛さ、心臓破けそうになるほど可愛い生き物が他にいるだろうか、いやいまい、うちの子が一番可愛い。そうそう今朝の我愛羅も犯罪級の愛くるしさだった。

昨日(実質今日なんだけど)深夜にうとうとするのは自然な現象、眠くなるのは人間として当たり前、しかし我愛羅は一尾のせいでまともに寝れなかったわけだから当然一尾がいなくなっても常に眠気を我慢する傾向にある。

寝てもいいよ傍にいるから、と言っても眠くないの一点張りでそのくせ頭はふらふら、一尾に全てを持っていかれるのがやはり怖いのだろうと思っていたが、実はそうでなかったのである。

一尾よりもなまえが居なくなってしまう方がよっぽど怖い。我愛羅の言った一言に二度と離さんと誓ったのは言うまでもない、絶対離さん頼まれても嫌がられてもである。

「全くもう遠慮なんかいらないのに!いつもの自重しない我愛羅はどこいっちゃったの」
「ぼ、ぼく、自重してないの……?」
「まあね、全然構わないし遠慮されるのもあれだしね」
「……」
「だから食べたいものとか、必要なものがあったら遠慮なく言っていいよ!」

だから好きなもの言ってごらんよ、わしゃわしゃ頭を撫でながら聞けば我愛羅は小さく頷いた。

「……じゃあ、すなぎも、とかたんしお」
「え?おっさん!?」
「ご、ごめんなさい……」
「あーいやいや責めてるわけじゃなくて」

いいんだけどね、全然構わないよ、いつもの我愛羅に砂肝とタン塩が好きだと言われた時は変なもの好きだねーって思っただけなんだけど、まさかこの歳でそれを言うとは……。予想外だわなまえさん我愛羅の食生活が不安で仕方ない。

それから飲兵衛か!なんて突っ込むのはやめておいた。我愛羅また泣いちゃうだろうし。っていうかこの歳で噛みきれないだろ、砂肝やタン塩が喉に詰まりでもしたらどうするんだ全く。

「だ、だめだったら、いいよ、ぼく、なんでもたべる」
「よし砂肝もタン塩も食卓に並べようか!」

うるうるした我愛羅に勝てるものなどあるわけない、天然小悪魔最強だな!普通の子ならあんまり甘やかしたりしないけど(それこそわがままなんか言ってみやがれ、鉄拳制裁教育だ)我愛羅だけは別、歳不相応な謙虚さは見ていてつらい。

自分は普通に平々凡々な人生歩んできたし人並みに幸せだから、それを分けたいし出来れば我愛羅が求めるものは全部あげたい、出来ることを全部してあげたい。我愛羅が私を好きだと言ってくれた時に誓ったのだ生涯掛けて、我愛羅が毎日笑顔を見せてくれるような日常を作るって。

不安げにちらちら私の様子を伺う我愛羅は360度どこから見ても最高に可愛い、繋いでた手をぱっと離したらひどく悲しげな表情になったので、そこですかさず抱き上げて抱き締めた。

「っ!?」
「おやつもいっぱい買って帰ろう」
「おや、つ……?」
「朝早かったし、今日はもう帰ってだらだらしてご飯食べてだらだらして寝る!任務もないし」

我愛羅を抱き上げるなんてもうこの機を逃したら一生出来ない、ぷにぷにした頬っぺたを間近に見て癒される、不謹慎でごめん。我愛羅を抱き上げたまま里一番の八百屋に向かう、降ろしてと言う我愛羅は無視、こんな時こそ甘えときなさいなまえさんに。

途中で会う友達やら近所のおばさん達に揃って、その子誰?って聞かれても余裕の返答。生き別れたマイブラザーですよ他里から遠路遥々私に会いにきたんです感動ですよね!ぎゅーっとして、可愛いでしょう!と自慢、恥ずかしいのか怯えているのか、我愛羅は私の首元に顔を埋める。

私の溺愛ぶりに不遇の姉弟だと思い込んでくれた友人やおばさん方、あらまあと言いながら飴やら果物やらをおすそ分けしてくださった、いやあ役得役得……なんて言ってられませんね、またもや不謹慎。

「さてと我愛羅くん」
「……なあに?」
「うちに帰ってだらだらするのとごろごろするのどっちがいい?」
「だら、え?」
「じゃあだらだらしながらごろごろする、でいいよねだらごろで」

首を傾げるばかりなので勝手に決定しといた、だらごろ嫌いな人なんていないでしょ、人生楽して生きたいもの、誰だってね。人生楽ありゃ苦は知らん。

20120618
20201207修正
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