WEEKLY☆KAZEKAGE | ナノ

本気を出した我愛羅に負けた。

我愛羅逆成長事件から数ヶ月、我愛羅が元に戻った理由は、キスしたことがきっかけだった、厳密に言うと問題はキスではなくて、本人が一番望んでいることらしかった。テマリにもこっぴどくしかられて媚薬云々の怪しいお薬系に懲りたらしい我愛羅本人はそれからというもの、真面目に拍車が掛かったかのように全力で風影の仕事を全うしていた。

それこそ身体を壊す勢いで。

一度は倒れ、それでもガンガン働き続けるものだからさすがに心配で、私はむりやり休暇を取らせて甘やかし倒すことにした。

我愛羅の願いに何でもイエスで答え、要望も全て飲んで実行した、膝枕、添い寝、食事のあーん、お風呂も一緒に入った。とにかく我愛羅の望んだことを全てやり尽くして、最後に手合わせをして欲しいと言われた。

「俺に勝てたら今度は俺がなまえの言うことを何でも聞こう」
「いいねそれ、おもしろそう」
「俺は本気でいく、だからなまえの攻撃がかすりでもしたら俺の負けとしよう」
「我愛羅ってば私のことナメてんの?」
「いや、できることならすぐにでも舐めたい舐め尽くし」
「あーはいはい」

結構軽いノリで始めた手合わせ、始めてものの数分で私はものすごい後悔の念に苛まれたのである。

かするどころかまず近付けやしない、絶対防御は強固さを増し、絶対攻撃は熾烈さを極めた。

レベルが違い過ぎ、桁違い、あっさりと負けてトドメを寸止め。体力、チャクラ共に消耗し過ぎて声すら出ない、俺の勝ちだと言った我愛羅は疲れきって動けない私を抱えると、風影邸に戻った。

張り切ったけどあっさり負けちゃったね。

「やっぱり違うね、風影様の実力」
「それは嫌味か?それよりも大丈夫かなまえ」
「うん、もう平気」

ソファに降ろされて冷えたお水をもらう、天下の風影様にこんなことしてもらえるのはきっと私だけ、そう考えたら頬が緩んで我愛羅は不思議そうに首を傾げた。

「どうした」
「んーちょっと幸せ噛み締めてた」
「そうか」

多分私の意図を汲み取ったんだと思う、我愛羅もそれはそれは嬉しそうにはにかんだから、もっと幸せな気分になってきちゃって。

コップを受け取りながら頬に軽く唇を寄せる、不意打ちに驚いたらしい我愛羅は目を見開いて、仕返しだとばかりに唇を塞がれた。

子供だった時とはまた違うけれど、それでも見た目よりも柔らかい我愛羅の唇が離れていくのに、僅かな名残惜しさを感じる、持っていたコップの水が波打って僅かに零れ、慌てて持ち直す。

落とさないうちに、と促されてよく冷えた水を飲み干した。

そう、飲み干してしまったのである。

ぐ、と腹の底で疼くもの、変な気分だ、内側から引っ張られている感覚にまさかと思って我愛羅を見れば口元がひくひく歓喜に震えてる。

強烈な眩暈の後に視界が一変した。

「があらこのやろ……」
「……っ!」

きゅん!じゃねえよバカ、結局振り出しに戻って我愛羅は全然懲りてなかったわけだ。

「なまえ、かわいい」

くっそう一杯食わされた!いや飲まされた、我愛羅が縮んだのとまた違う薬だ、無味無臭だから全く気付かなかった、精神や記憶の後退はない。ただ見た目だけがすっかり幼児化してしまったらしい私はいつもより大きく見える我愛羅の腕の中。

それに我愛羅の様子も全く変化なくいつも通りだったから。

「今度は俺が全部面倒を見る」
「ふあん!」
「舌足らずか」
「ふあんしか見当たらない!」
「大丈夫だ、幼児の体型じゃ欲情しな……」
「が、があら?」
「いやまずいな、なまえだと話は別だ、おかしな気分になってくる」

やばいよー!この風影やばいよおおお!もうさ、お姉ちゃん呼ぼ?テマリ呼ぼうよ!うん、ムソルグスキ、私の伝書梟のムソルグスキはどこ!?

「平気だ、なるべく抑えられるように努力する」
「もうすでに限界っぽいよね!なんか心なしか瞳孔開いてない!?」
「大丈夫だ心配ない、全くもって問題は」
「ある!ありすぎだよね!」

じたばた暴れてもこの体型だと全然意味がない、軽々私を抱き上げていそいそお風呂場へと直行する我愛羅、恐怖以外の何物でもない。何故風呂へ向かうんだ、やだやだおろして怖いわ!

「今度のものは一週間で効果が切れるとわかっている」
「がーらがのんだのと、ちがう?」
「前のは試作段階だった」

薄く笑う我愛羅。

ああもう、元に戻ったら覚えてろ!




20130927
20201207修正
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