WEEKLY☆KAZEKAGE | ナノ

一段落する大詰めフライデー。

全ての事柄を要約してみた。

まず我愛羅が縮んだのは若返りの薬のせいだ、あの小瓶の中身である。研究施設に結果を聞きに行く前に我愛羅が元に戻ったおかげで彼の口から聞くことができた。

当初の我愛羅の予定では、自分で飲むわけではなく私に飲ませようと密かに独自のルートから手に入れたらしい、次があっては困るので独自のルートを潰そうと、ルートを聞いたが頑なにそれを拒まれたのでとりあえずまた後で吐かせることにしておいた。

では何故自分で飲んだのか、その理由は実に滑稽、寝ぼけて水と間違えて飲んだという。しまった!と思った時にはもう遅い、意識が遠退き完全に闇の底、縮んでいた間は本当に記憶も幼少の頃まで遡ってしまったそうだ。(確かにちんまい我愛羅は本当の意味で子供だった)

元に戻った今、縮んでいた時に体験したことを全部覚えているようで私が記憶喪失になりたいと思った。「母親のように自分を心から大切にしてくれていたなまえが今改めて愛しい」とのたまう我愛羅に鉄拳制裁。ここで惚気なくてもよろしい。

それと何故若返りの薬を私に飲ませようとしていたのか、という理由も非常に単純明快。

小さい頃の私が見たかった、ただそれだけ。

「幼少の俺にはあれこれ良くして献身的に尽くしてくれていたというのに、元に戻るなりこの仕打ちはいささか」
「何?大事なところ、潰されたかった?」
「……なんでもない」

正座をしながら、まだ痛むらしい股関を押さえる我愛羅、風影の面目丸潰れであるがそもそも我愛羅が変な薬を私に飲ませてみようなどと目論んだりするからいけないのだ、ちんまい我愛羅の方がよっぽど大人で聞き分けもいいし謙虚である。

「……なまえは俺が嫌いか」
「別に嫌いだなんて言ってないでしょう、聞き分けのない子供じゃないんだから」
「聞き分けのいい俺が好きか」
「だからそういう意味じゃ」
「俺がどうあろうと好きだと、全ての俺が好きと言っただろう」

むす、と拗ねられた。

それを言われるとちょっと苦しい、我愛羅の存在そのもの全てを愛しているとは言ったが、わがままを全て許せるわけではない、限度がある。

「俺はただ、なまえとの空白の時間を埋めたかった」
「我愛」
「俺の知らないなまえを知りたかった」

物憂げな表情、俯いた視線。

「うん、とっても感激できる言葉はありがたいんだけど股間押さえたままだとほとんど台無しだからね」
「……」

こんなことをしなくたって、少しくらい相談してくれればいいのに、小さい頃が見たいと一言くれれば写真の一枚や二枚探すのに。確かどこかにしまってあったような……昔のアルバムがあったかなあと零せば我愛羅が勢いよく伏せた顔を上げる。

「あるのか?」
「うわ、すごい食いついてきた」
「あるのか!?」
「た、多分探せばどこかに」
「よし」

俄然やる気を出しやがった、はりきって探す気満々、ちょっと待ちなさい我愛羅、一直線に下着がしまってあるクローゼットに手を掛けるのやめなさい。

慌ててクローゼットと我愛羅の間に自分の体をねじ込んで阻止、アルバム探しついでにあわよくばいろいろ物色しようという算段だろうがさせるものか。

「ここは着替えとかしか入ってないから、探すだけムダだから」
「そんなもの探してみなければわからない」
「家主がないっつってんだからないの、期待を込めた目をしてもダメなもんはダメ!」

クローゼットを何としても開けたい我愛羅を両手を広げて阻む、ゆるゆると腰に回る腕が憎たらしい。

「俺はなまえの全てを知っておきたいだけだ」
「ある程度のプライバシーも考えてほしいな!」
「……」

有無は言わせない。

もう一度金的攻撃かましておこうかしら。

20130517
20201207修正
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