小話 | ナノ

すごく変な人に懐かれて困っています、芸術は爆発だとか意味不明なことを口走ったり、白い粘土で気味が悪い造形物を作っては私に評価を求めてきます、更にその造形物は掛け声一つで爆発するんです、出来れば近付きたくありません、しかもその人は抜け忍でした。

「おいなまえ、見ろよ今日の最高傑作、うん!」
「やめてください、その気持ち悪いやつこっちに持ってこないでください」
「この作品の良さがわかんねえなんてまだまだガキだな、うん」
「わかりたくもないですね、正直その辺に転がってる石ころの方が余程風情があると思います」
「なんだとコラ!」

こねこねした最高傑作とやらを地面に投げ付け、作品はべちゃりと潰れた。あらまあ。彼は私の言葉に激昂したようです、そういうすぐにキレる人の方がガキだと思いますが、私は大人なので口には出さず、心の中にしまっておきます。

「芸術とか別に興味ないですし」
「お前を見た瞬間ビビッときたんだよ、おいらの芸術はなまえによって更なる進化を遂げる!うん!」

うん、なに言ってんのかちょっと理解不能ですね。

「えっと……ダラダラさん」
「いい加減名前くらい覚えろよ、デイダラな」
「え、マグダラさん?マリア?」
「デイダラな!」
「はいはい、ドロドロさん」
「デ・イ・ダ・ラだ!ドロドロってきったねえな!わざとか!?お前わざと言ってやがんだろ!」

ほらまたそうやってすぐにキレるんだから、カルシウム足りてなさそうな顔してますもん、なんとなく。

そりゃあね、私だってデイダラさんをイライラさせて面白がる程度のストレス発散くらいしたい、どこに行くにも絶対いつもデイダラさんが一緒にいるんですもん。

っていうかデイダラさんが一緒、というよりもデイダラさんに強制的に連れていかれてると言った方が正しいですね、最初にも言いましたけど、妙に懐かれているんです、そしてデイダラさんは抜け忍です、私は一般市民、つまり誘拐されて一緒にいるんですよね。

「ったく生意気な奴だな、うん」
「デイダラさんに言われたくないです」
「ほんっとに……ああ、もう!うん!」

でも。

何だかんだ言ってちょっとは楽しかったりするんです、基本的にデイダラさんは面倒見がいいので。

それに好かれているからなのか、体調とかも気に掛けてくれたりします、そういうところは素敵だと思いますが、言うとものすごく調子に乗るので言ってません。

「なあ、なまえ」
「なんでしょう、デイダラさん」
「お前、里にいた時好きな奴とかいたか?」
「……」
「おい」
「いませんでしたけど、なんでですか?」
「き、聞いてみただけだ、うん!(よっしゃ!)」

デイダラさん、小さなガッツポーズ見えてます。





6thサルベージ
20131022
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