小話 | ナノ

憎らしい、彼女を取り巻く全ての男、異性、オス。俺はなまえが好きだ、愛している、里も大事ではあるがなまえなしの里などありえないと思っている、立場上、口に出しては言えないが。


恨めしい、彼にすり寄る全ての女、異性、メス。私は我愛羅が好き、愛してる、里も大事だけど我愛羅なしの里なんて絶対ありえない、うん、わりとみんなに公言しちゃってる。


俺じゃない誰かと言葉を交わし、面白おかしい話題なのだろうか、腹を抱えるように笑う姿を見かけ、相手の男が、すぐにでも生まれてきたことを後悔するくらいの激しい腹痛に見舞われてしまえばいいと心の底から念じてやった。あの満面の笑みを、なまえのすべてを独り占めしたいと思うのはいけないことなのだろうか。


私じゃない誰かと話しをしていて、珍しく仕事以外の話なのかな、ふと柔らかく気を緩めて笑う姿を見かけて、相手の女がすぐにでも生まれてきたことを後悔するくらいの激しい頭痛に見舞われればいいのにと心の底から念じてみた。あの優しい微笑みを、我愛羅のぜんぶを独占したいと思うのはダメなのかなあ。


カンクロウにさえも殺意が湧くほどだ、あいつにそんな気がないことくらい重々承知しているが、それでも面白くないと感じてしまう場面が多々ある俺は異常なのか。いつかカンクロウに乗り換えられてしまうのでは、常に不安が付きまとう。


テマリちゃんにさえも嫉妬しちゃうくらいだ、姉弟なんだから恋愛対象にならないことくらいわかってる、それでも羨ましいと思う場面が時々ある私は欲張りなんだろうか。もしテマリちゃんよりも強くならなきゃ交際相手として認めないって言われたら、心配ばかりが渦巻いてる。


俺がこんなふうに卑しく器の小さい男だと知ったらなまえは幻滅するかもしれない、自由奔放ななまえだ、きっと繋ぎとめて束縛されることを最も嫌がるに違いない。


私がこんなふうに浅ましく心の狭い女と知ったら我愛羅はがっかりするかもしれない、堅牢堅固な我愛羅だもん、きっとバカバカしい嫉妬や羨望を向けられるのを嫌うに決まってる。


「はあ」

「あれ?」
「む」
「どしたの我愛羅、ため息なんかついちゃって」
「なまえこそ、元気がないな」
「えー、そんなことないけど!」
「ため息に特に深い意味はない」
「……」
「……」
「一応さ」
「ああ」
「言っておきたいこと、あるんだよね」
「奇遇だな、俺もだ」



(同じタイミングで照れ笑い)

20131103
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