「わたし淡い緑色が好き、我愛羅の瞳、とっても綺麗なんだもん、ずっと見てたいなあ」
ふふふ、と嬉しそうに笑うなまえの瞳に淡い緑の瞳のおれが映る、おれもずっと、出来ることなら永遠になまえを見ていたい。
大切ななまえ、愛しいなまえ、おまえのためならおれはなんだってしてやるし、なんだって出来る。淡い薄桃色をした唇がおれの名を紡ぐたびに胸の中でじわりじわり広がる温かいもの。常にそれを感じていたかったからなまえが喜ぶと思ったことは全てした。
「我愛羅、むりはしないでね、わたし我愛羅が隣に居て笑ってくれるだけですごく嬉しいんだから」
なまえは謙虚だ。
どんな時でも労り思いやることを忘れない、だがおれはもっと甘えられたい、頼られ甘えてわがままを言ってほしかった、もっともっとおれの存在をなまえの中で大きく確実なものにしてほしい。
それにむりなどしてない、出来ればむりをしたい、なまえ#のために。
おれは何が出来る?
数週間かけて考え、おれはなまえに贈り物をすることにした、きっと喜んでくれると確信していたが期待は大いに外れる結果に終わる、喜びもしなければ怒りもしない、おれには理解出来なかった。何故……何故なんだ、何故だ何故だ何故だ。
どうしてなまえは泣いているのか、悲しみを訴える涙に困惑した。
「があら、なんで……」
なんで?
それはおれが聞きたい、なまえが言ったんだ、淡い緑色が好きだと。だから淡い緑を選んだ、おれ自身の瞳を片方、おれの残りの右目となまえに贈った左目、同じものを共有していることになる。これ以上のものはないと考えた。おれの瞳が好きだと言ったじゃないか。
「ち、違っ……違うよ我愛羅、こんな、自分を傷付けるようなこと!」
揺れるなまえの瞳に片目を包帯で覆われたおれが居る、こんなのは望んでいない、ただただ、なまえの喜ぶ顔が見たかっただけなのに。からっぽの左目よりも胸がしくしく痛んだ。
翠玉
20120528
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