小話 | ナノ

「我愛羅ー!」
「……なんだ」
「いっぱいの"い"を"お"に変えてみてよ!」
「……い?」

訝しげな顔をしてこっちを見る我愛羅に突撃、意味がわからないと言いたげな雰囲気、ほらほらいいから言ってみなさいよ。口を開きかけて我愛羅は言おうとした言葉の意味に気付いたらしい。

「お……おっ!?」
「うん、おっ、何?」
「い、いや……お前一体俺に何を言わせる気だ!そ、そんなことして何が楽しいのか理解出来ない!」
「え?」
「え、じゃない!」

真っ赤な顔して怒っても全然怖くないよ、声裏返ってるし我愛羅ってばかーわいーなーってにやにやしたら拗ねちゃったみたい、眉間にシワを寄せて斜め下を向く。

じゃあそろそろ答えを言ってあげようか。

「ねえ我愛羅」
「……なんだ」
「そんな拗ねないでよ」
「……拗ねてない」
「あのね、さっきの質問なんだけど"おっぱい"じゃないからね」
「!?」

あーあ、目が泳いでる。我愛羅ってばほんとソッチの話しには弱いよね。かーわいーなー。

「おっぱお、だからね」
「……」
「あれ、なんで黙るの我愛羅、そんな"おっぱお"と"おっぱい"間違えたくらいで怒らないでー」
「……怒ってない」
「眉間のシワやばいよ我愛羅めっちゃ怒ってるよ」
「だから怒って」
「それに我愛羅はおっぱいって言ってくれた方がテマリンもカンクロリンも喜ぶよ!」
「な、そ、俺はそんなこと言わない!」
「照れなくてもいいのにー、きっとみんな『ようやく我愛羅も普通の男の子に』ってお赤飯炊いてくれるから!」
「全然嬉しくない!」
「あ、でも普通におっぱいって言っちゃうと誰のおっぱいかわかんないし、それはちょっとヤだからちゃんとなまえのおっぱいって言ってね」
「……っ!」

ぶわっと首まで赤くする我愛羅、赤さはさっきの比じゃない、視線がうろうろ落ち着かなくて絶対に私の胸元を見ようとしないから意識してるのがまるわかり。

きつく握られた手がぶるぶる震えて握り締めすぎて白くなってきてる、やだな我愛羅、そんなに我慢しなくてもいいのに。さりげなく握り締められた手を取ったら我愛羅の肩が大きく跳ねた。

「な、にす」
「我愛羅ってば我慢しなくていいのにー」
「え……は?」
「触っても我愛羅なら怒らないから」

ぺと、と自分の胸元に我愛羅の手を持ってきた、決して大きいとは言えないけど柔らかさには自信がある、びっくりしたらしい我愛羅は離れようとするけど私はそれを許さない、だから少しだけ、我愛羅の手の中でふにりと胸が歪む。

感触に更に驚いた我愛羅は固まった次の瞬間、硬直して直立したまま倒れちゃった。


(テマリーン、カンクロリーン!我愛羅がー!)
(何!あの我愛羅がなまえの胸掴んだって!?よし、赤飯の準備だ!)
(我愛羅のやつずるいじゃん、てかカンクロリンて)


20120520
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