おじさま×甘党×ドライヴ | ナノ

家事の一切を任されている私だが、人間だもの、そりゃあやっぱりうっかり寝坊してしまうことだってある、アラームが鳴らなかったのか、聞こえないほどぐっすりだったのか。


「ほんっとにごめんね賈クおじさま!」
「いいっていいって、どうせ仕事も休みだったわけだし」
「寝坊した上朝ご飯用意してもらっちゃって……」
「まあ気にしなさんな、たまには悪かないさ、それよりどうかな?俺のハムエッグは」
「んふふ、おいひ」
「あっはっはあ、そりゃあよかった」


うっかり寝過ごして賈クおじさまに起こされたのが15分前、寝起きの間抜けな顔をまじまじと見られて「んーあどけない」なんてちょっと意味わかんないこといきなり言われたら軽くパニックになる、おじさまが起こしにきた?え?今何時?今日何曜日!?

カレンダーの日付けが赤くなってて、今日がたまたま祝日だったから良かったけど、平日だったらそれこそてんやわんやお祭り騒ぎだ、もちろん悪い意味で。

賈クおじさまはもうすでに朝食を終えているようで、私の向かいに着席し、お茶を飲みながら私の食事を眺めてる。普段は料理をしない人だけど、やって出来ないことはないみたい。

それにしても、あんまり見られてるとちょっと食べにくい、髪の毛は寝起きでくしゃくしゃだし、だらしなくパジャマのままだし。


「さってと、どうせだから今日はなまえの仕事を俺が全部代わってやるとしましょうかね」
「えっ、いいよ!平気、私ご飯食べたらすぐかかるよ!」
「まあまあ、いいからいいから」


それでなくても連日仕事で忙しくしてるのに、家の仕事までしてもらうなんて申し訳が立たないよ。そう言っても、俄然やる気の賈クおじさまはこうなったら私が何を言おうと絶対やる、ありがたいにはありがたいけど、こんな贅沢しちゃってバチが当たらないかな。


「さてさて、洗濯は終えてるし、掃除機でも掛けるか」
「え?」
「ん?どした?」
「賈クおじさま、洗濯って……?」


お次は何を、としばらく思案した賈クおじさまはきっと何気なく呟いたんだと思う。もう、洗濯もしたの?


「ああ、したが何か出すものがまだあったかな?」
「え、あ、いや、そうじゃ、なくって」
「んん?」
「えっと、うん、何でもない」


言えない、やってもらってるのに口出しなんか絶対出来ない、でもほら!し、下着とか見られてるわけでしょ?今更だけど恥ずかしいじゃない!賈クおじさまは気にしてないのかもしれないけど。女性が男性の下着を洗濯するのはあんまり不自然には見えないけど、逆のパターンってちょっと想像し難いっていうか、上手く言えないけど、ね?

賈クおじさまが変な気を起こすとか、疑ってるわけじゃないの、うん、全然疑ってない全然。ただ単に私の羞恥心がくすぐられてるだけのことだから。


「んーそうか」
「……うん」
「もしかしたらあれを気にしてるのか?」
「え、あれって?」
「全部混ぜて洗濯機に放り込んだりしてないから安心してくれ、下着もきちんとネットに入れて洗ったから」


キャアアア!


「それから乾いてた洗濯物も全部畳んで、クローゼットにしまっておいたから心配はご無用」


キャアアアアアア!


「じゃ、ゆっくり朝食を楽しんでてくれ」
「あ、ありがと……」


私のライフはもうゼロよ……わりと几帳面なおじさまのことだから、きっと洗濯物はきっちり綺麗に畳まれているはず、もちろん下着も然り。

賈クおじさまは全然気にしてないふうだし、私が気にし過ぎなんだろう、見られたり触られるのがイヤっていうわけじゃないの、こんな言い方もちょっと語弊があるけど!おじさまがなんとも思ってないのに私がこんなことばっかり考えてたら失礼だよね、ああもうやめやめ、早くご飯食べておじさま手伝いしに行こう。





「たまには寝坊させてみるってのもアリか、んー役得役得っと、随分色っぽい下着着てくれちゃってまあ……、着けてるところを見てみたいってのが本音なんだがねえ、下着の真価は単品よりも女性が着けてこそ発揮される、ってね」


賈クおじさまによってアラームが意図的に止められていたなんて、想像すら及ばなかった私はもう絶対に寝坊なんかしないぞ!とおじさまの真意を知らないまま堅く心に誓った。


拝啓、確信犯なおじさま

賈クはナチュラルにセクハラかますんです。
20140119
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