おじさま×甘党×ドライヴ | ナノ

むにむにもぎゅもぎゅ、付けるとすればこんな音、グミキャンディが好物のおじさまは、煙草やお酒の代わりと言ったらなんだけど、口寂しい時にはいつもグミを咀嚼しているイメージがある。大抵は何かしらのグミを持っているし、食べたことのないグミはないんじゃなかろうか。

この間もらったハリボー、輸入グミの中できっと一番有名であろうそれ、スタンダードなゴールドベアは相変わらずいつ食べても固い、顎が疲れる。ああ、でも少し違った食感のグレープフルーツは美味しかったなあ。


「ねえねえ」
「うん?どしたのなまえ」
「岱ちゃんってほんとグミ大好きだよね」
「うん大好きだよお、あ、でもなまえの方がもっと大好きだけどね!」
「あーうん、はいはい」


ほんとだよお!と言いながら横から飛びつくようにして抱き付いてくる彼、頬擦りやめてお髭がくすぐったい。


「そうそう、最近はサルミアッキにハマっててね、なまえもどう?」
「サルミアッキ?何それ、今度はどこの?」
「フィンランド」
「ふうん、あるの?」
「もちろん、ほら」


私を抱き込んで足の間に入れる岱ちゃん、ポケットから箱を取り出すと、目の前で掲げて見せてくれた。シックというかシンプル?一見してお菓子っぽくないようなパッケージに私の興味は深々である。
箱開けてざらりと手のひらに出した瞬間、私は我が目を疑った。えっ、何これ食べられるの?なんか黒いんだけど大丈夫?岱ちゃんはハマってるとか言ってたけど……ほんとに大丈夫?食べ物なの?


「大丈夫大丈夫、ちょおっとクセがあるけど病み付きになると思うよお!」
「そう?じゃあ一個もらってみようかな」


親指の爪大くらいの大きさ、菱形で黒いそれをつまんでひょいぱくと口に放り込んだ。2、3咀嚼したその瞬間、口の中が拒絶反応を起こしたかのように、唾液の分泌が凄まじい。へんなにおい、へんなあじ。
そのせいで口いっぱいに何とも形容し難い味が満遍なく広がり、涙さえ滲んできた。


「ま、まず……!」
「どう?クセになるでしょ」
「まずい!きらい!」


何てものを食わせてくれたんだこの野郎!つい勢いのまま張り手をかましてしまいました、バッチーン!ととってもいい音がしました。
トイレに駆け込んでモノを吐き出し流す、洗面所でこれでもかというほど口をすすいで丁寧に歯磨きまでしてやったくらいだ。


「ひどい!まずい!嘘つき!」
「へ!?」
「岱ちゃんなんかきらい!」
「そ、そんなあ!」


この世の終わり、そんな顔。しばらくは口をきいてやりませんでした。だってほんとにまずかった!

もいもいもーい!

20140514
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