おじさま×甘党×ドライヴ | ナノ

友達3人と、二泊三日の旅行に出掛けた。観光も兼ねて温泉と、美味しいものを巡る旅。充実してたし癒されて、すっかりリフレッシュして帰宅したら、すっかり意気消沈して鬱屈モード全開のおじにお出迎えされました。


「……つらい」
「岱ちゃん、苦しい」
「なまえと、二日と半日離れるのがこんなにつらいなんて……俺もう絶対離さないかんね!」


ぎゅむぎゅむー!と口で言っては本当にその通りにしてくる彼は30代の後半戦に差し掛かった若おじさま、と言ったところ。詳しい理由はあんまりよく聞いたことがないけどなにやらトラウマがあるみたい、一人とか孤独とかそういうのに過剰に反応する。


「今日やっとなまえが帰ってくるってことで、がんばったのよ」
「ううわ、すごい数」
「馬岱おじさん特製ディナーでなまえの胃袋ゲットしちゃうよお!」


ぎゅうぎゅう抱き付いたまま歩き出した彼に連れられ……というか半ば引き摺られつつ、リビングに行けば、すでにセッティング済みの夕食がテーブルの上で溢れんばかりにひしめき合う。豪華も豪華、一体何の記念日かと聞きたくなる。

引くくらい豪華だ、七面鳥なんてどこから買ってきたの、こんなに作って二人だけでどう消化するつもりなんだろうか。誰かを呼んで一緒に……なんて提案は絶対に却下されるだろうなあ、他人をあんまり家に上げたがらない人だし。


「すごい、すごすぎるよ、岱ちゃん」
「ほんと?びっくりした?嬉しい?」
「うん、びっくりしたし嬉しい」
「よかった、がんばった甲斐があったよお」


ぱん、と手を叩いて喜ぶ岱ちゃん。鬱屈モードに入ると相手をするのがとんでもなく面倒で大変なことになるから、今のうちに少しでも機嫌を良くさせておかないと。

それにしても絶対いい主夫になれると思うなあ、これだけ面倒見が良くて良く気が付く人だもの、会社にいてもきっと重宝されるだろうし、何より会社とかの同僚さんが放っておかないはずなんだけど。

んーでも岱ちゃんからあんまり女性関係の話って聞いたことないや、そもそもこれだけ可愛がられてるんだから、彼が私を姪として見ていないのかも、なんてほんの少し期待してみちゃったり。


「私のために一生懸命になってくれる岱ちゃんに、ひとつ質問です」
「ん?なになに、なんでも聞いてよ」
「このままずっと一緒にいたいなあって言ったら、岱ちゃんは一緒にいてくれる?」
「えっ」


ぽかんと間抜けな顔、なに言っちゃってるのこの子とでも聞きたげだ。なんか傷付く、やっぱり私みたいなちんちくりんじゃあ岱ちゃんに釣り合わないよね。


「あーごめん忘れて、野暮なこと聞いたよね、ごめんごめん」
「なまえは俺のこと好きでしょ?」
「……岱、ちゃん?」
「俺はなまえこと大好きだよ、姪だなんて思ったことなんか一度もないからね、ずっと一緒なんて当たり前のこと聞かないでよお!お嫁になんか行かせないよ、絶対に」


急に声のトーンが変わるからびっくりしちゃった、岱ちゃんは知ってた。知ってて私がけしかけるまで待っていたんだ。ずっとずっと一緒だかんね?念を押すように岱ちゃんはもう一度繰り返すと、ニイと笑ってまた私を抱きしめた。

拝啓、寂しがり屋なおじさま

20140514
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