ヴァンパイア・アネクトード | ナノ

満月が近くなると不安定になる、落ち着きがなくなって、時に苛々したり目付きが尋常じゃないほどに鋭くなるのだ。すべてが綯い交ぜになった感情をぶつけるようにして、半ば襲い掛かるように陸遜は私をベッドにぶん投げる。


「すみません、今夜……いえ、しばらくは優しくできそうに、ありません」
「満月、近いもんね」
「痛くしてしまったらすみません」
「押さえつけられてるとこがもうすでに痛い」
「我慢してください」
「そんなご無体な」
「ふざけられる余裕があるのなら、もっと勢いづいても大丈夫そうですね」
「ごめん待って陸遜が本気だしたら私死ぬよね、ごめんがんばって手加減お願いします」
「善処はします」


ぎらつく瞳は獣のようで……というより陸遜は正真正銘の獣、狼男の末裔である。人狼、ワーウルフ、ヴァラヴォルフ、ルー・ガルー、呼称は様々、種類種族も様々。満月の夜と新月の夜に狼人間になってしまうこと以外は至って普通の人間と大差ない。ただし力は人間の倍以上強い、握力なんて計測器の針が振り切れるほど。陸遜いわく満月と新月の夜以外ならパワーセーブはお手の物、らしい。

可愛い顔をしているくせにその正体が狼男って、笑えないジョーク。そんなのに目を付けられて困った困ったと言いつつも、結局のところほだされている。

20140227
20160218修正
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