ヴァンパイア・アネクトード | ナノ

怪しい人相が更に怪しくなるような、いやらしい笑みを携えて賈クさんが近付いてくる、何それやだ怖い気持ち悪い笑い方やめようよ!ねえ!


「んー気持ち悪いとは随分な物言いだ」
「いや、ほんっとに気持ち悪い」
「あっはっはあ!そこまではっきり言われると清々しいねえ」
「褒めてないんだけど」
「俺にとっては賞賛に価する」


座ってたソファの隅に追いやられて、ぐっと近くなった鼻先、絡みつく視線から逃れたくてもこの人の瞳はそれを赦してくれない。更には両頬を両手で包み込まれているから逸らしたくても逸らせない、不意打ちとでも言いたげに鼻先にキスをしてくれる賈クさん、見た目と行動が合わなすぎて本当に気持ち悪いんですけれども、彼はそれを愛嬌だとのたまう。


「んーいい匂いがするねえ」
「ひぃ!ぞわぞわする!」
「んん?なになに気持ちがいい、ははあ、そりゃよかった!」
「ちっがーう!首元でしゃべるのやめて!」
「あー了解了解、そんじゃ」
「ちょ、い、やだ……っつ!」


緩くじわじわといたぶるように尖った犬歯を首筋に埋められる、鋭い痛みのあとに形容し難いそれがやってきて、酔っ払ってふわふわしたような、そんな気分になる。呻き声を漏らせば賈クさんは極悪人面を歪めて笑ったようだった。


「いいねえ、その顔……そそられる」
「っ!」


鈍痛のあとにはふっと力が抜けて、視界がぼやけて、とても眠くなる。

20140127
20160218修正
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