ヴァンパイア・アネクトード | ナノ

順番がぐちゃぐちゃになってしまったのですけれども、けしかけたのは私の方です。何をされても文句は言えません……と言うよりも言うわけがないのです。だって私はずっとずっとあなたのことを。



私の血を啜った于禁さんはしばらくの間、私をこれでもか!というほどに避けていました、罪悪感からか、それとも我を失って本能のままに血を求めてしまうのが恐ろしいのか。どのような理由から私を避けているのかは存じ上げませんが、とてもさみしい気持ちになりました。

耐える必要はなくて、私のものでよければいくらでもどうぞ、と申し上げましたのに……。苦しげにするお姿を見たくなくて、理解することは出来なくとも、受け入れて差し上げることは出来るのです。

もっと甘んじて、人に頼ることをしてくださったらいいのに、きっと于禁さんは恐れているんですよね、侮蔑や軽蔑、そんな眼差しは到底耐え続けられるものではありません。

ですから世界中を敵に回しても、私一人だけだとしても絶対に于禁さんの味方でいます、ずっとずっとそばにいます、そばにいたいのです。

ご自分の殻に閉じ籠った于禁さんを探して、追いかけて、目一杯抱き締めて、お一人で抱え込まないでくださいとお願いしました。于禁さんは今にも泣いてしまいそうな面持ちで、私にすまぬと一言呟き、以前と同じ場所に歯を立てる。


「于禁さん……」
「すまぬ、少々……量が」
「以前よりも顔色が良くなられたようで、安心しました」


青白かった顔色は明るさが増し、幾らか頬もふっくらしたようです、少しダイエットを考えていた分私は体重が落ちたので願ったり叶ったりです。

何か口にするものを用意しておこう、と言った于禁さんに、それはまたこちらにお邪魔してもいいということですね?と問えば、彼はひどく狼狽して、決して血液を強要しているわけでは!と慌て取り繕うものですから何だかおかしくて。

于禁さんの食事によって動けない私が動けるようになるまで優しく包んでくださるその腕に、いつまでも支えていて欲しいと思うのはいけないことでしょうか。


「また、押しかけてもいいですか?」
「……鍵の心配はいらぬ」


身体の自由が戻るまで、少しだけ瞼をおろした。


20140122
20160218修正
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