ヴァンパイア・アネクトード | ナノ

【ふたりへのお題ったー】于禁へのお題
・やっと見つけた、だから俺のものだ
・「だいじょうぶだよ」
・見せず聞かせず、最後に口を塞いでしまおう


味気ない毎日、それで良いのだと言い聞かせ、他者との関わりを極端に避けた。そうでもしなければ本能の赴くままに、取り返しのつかぬ罪を重ねてしまう。一人で、独りで生き抜くことを決めたことを後悔などしていない、これで良いのだ、他者を傷付けることなく苦しむのは私だけで十分だ。

「そんなの、悲しすぎます」

自らの殻に閉じこもり、何も見えない深い闇の中にいた私の元へ、わざわざ飛び込んできたのがなまえだった。このような私など放っておけ、構うな、そうでなければ私はお前を傷付ける。己が望んだことだ、口を挟まれる理由などない。遠ざけても遠ざけてもなまえはめげなかった。

「私がいやです、それが理由になると思います!」

深い深い奈落の底のような闇の中に差した光のような、長い間拒み続け、同時に渇望したそれ。与えられる優しさ、温もり、そして愛情、与えられるばかりでなく捧げたいと思える存在を。

「だいじょうぶです、私はずっと一緒にいます、于禁さんを、于禁さんだけを」

ならぬと思うも、一度触れた温もりを忘れることなどできぬのだ、一生離さぬ、全ての外敵から守ると誓おう、やっと見つけた安穏は私の、私だけのものだ。なまえを傷付ける、あるいは唆し言い寄る者は全て退けよう。澄んだ瞳を濁らせぬために、清らかな耳をそのままで、そのふくよかな淡色のくちびるは私だけを知っていれば良い。

20140306
20160218修正
 / 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -